『Believe』真の黒幕はまだ出てきていない? 北大路欣也が“崩落事故”のキーパーソンに

『Believe』真の黒幕は未登場?

 木村拓哉主演のテレビ朝日系ドラマ『Believe-君にかける橋-』第6話の放送で、敵と思われた刑事の黒木(竹内涼真)とタッグを組んだ狩山(木村拓哉)。しかし、相変わらず社長の磯田(小日向文世)や弁護士の秋澤(斎藤工)など怪しい動きを見せている人物が残っている。本稿では、誰が崩落事故の真の黒幕なのか考察してみたい。

 これまで龍神大橋の事故は、ケーブルを納入した「若進建材」の若松博通(竹内涼真)が、父の会社を引き継ぎ負債を抱え、それを補填するために安価なケーブル材を発注し差額を着服、そのケーブルが原因で建設中の橋が崩落したとされていた。

 しかし、第6話で若松の弟・黒木刑事(竹内涼真・一人二役)が明かしたところによると、以前兄から金を貸してくれと連絡がきていたが、事故より前の3月10日に「金の都合がついた」とメールがあったことから、若松が誰かに金を掴まされ、故意に事故を起こした線が浮上した。

 狩山も、崩壊するときに現場のみんなが逃げる中、若松は橋のほうに戻って行ったこと、さらに死ぬ間際に「すみません」謝ったことなど、不可解な言動が引っかかっていた。そして黒木は、「この事件の絵を描いた人物がいる」と黒幕がいることを示唆し、2人は共闘を決意。つまり、事件の真相を知るには、事故を隠蔽したい派閥と、事故を画策した黒幕、この相対する2つを分けて考えないといけない。

 まず、橋を崩落させて誰が得をするのか。普通に考えると、龍神大橋は黒鉄島開発というビッグプロジェクトの一環で、東京都知事・榛名(賀来千香子)が統括する総工費120億円の事業なだけに、都知事を失脚させたい人物、もしくはゼネコン業界3位の帝和建設の信用を失墜させたい他のゼネコン業者と考えられる。

 このドラマでよく話に出てくる、帝和建設が着工するベトナムのメコン川横断橋プロジェクトは官民が一体となる国際的大事業なので、龍神大橋事件を起こし、隠蔽まで行った帝和建設は信用はゼロとなり、プロジェクトは他のゼネコンが請け負うだけに留まらず、日本の信用をも失う大問題になった。つまり、海外の勢力が黒幕の可能性も十分にある。

 そして龍神大橋事件は、何が何でも国土交通省や東京都にとって隠蔽したい問題。磯田社長はこのプロジェクトを潰さないためにも、狩山個人の失敗として罪を被ってもらった。磯田の経歴は、東大卒業後キャリア官僚として省庁に入り、その後、帝和建設の社長となった人物。キャリア官僚はよく悪役として描かれるが、磯田はこうした事故がどれだけの損失なのか分かっているはずで、ちょっとした権力争いで日本の信用を失わせることはしないはずだし、何よりプライドがあるだろう。隠蔽については思いっきり黒幕だが、橋崩壊を計画した人物ではないはず。

 そんな磯田が第7話の予告で、「帝和を潰すわけにはいけません、何卒」と都知事に土下座して、「ご苦労様でした、先輩」と返されるシーンが流れた。これは編集の妙でうまくミスリードさせているのかも知れないが、素直に受け取ると、都知事が帝和を切り捨てた構図だ。面倒なものは早く切り捨てたいという気持ちは、現実社会なら当然のこと。林刑務官(上川隆也)を通して刑務所の狩山を逃亡させた理由が、狩山の懲役は1年6カ月と短く、このままだとすぐに出所して不都合な真実を語られるので、逃亡したことで刑を伸ばす、あわよくば消してしまおうと企んでいたからだとしたら極悪知事だが、果たしてどうだろうか。事故の隠蔽に関しては磯田に圧力をかけていたが、崩壊事故は都知事にとってデメリットでしかないので、この事件の絵を描いた人物ではないと考えられる。

 一方、常に怪しい動きをしているのが秋澤弁護士(斎藤工)。当初は弁護士として狩山のために行動しているというスタンスだったが、事故の真相を隠蔽しようとする磯田たちに取り込まれ、狩山を裏切る形に。証拠となるSSDを奪うなど証拠隠滅に暗躍しているが、ただ狩山を裏切るというより、証拠を集めて助けるつもりでいるため、狩山には余計なことをしないでほしいと考えているようにも感じる。磯田との関係性も微妙で、公園で密会し現状を報告した際に、「社長や狩山さんにどの程度話しているんですか?」「そろそろ私にも全貌をお聞かせ願いませんか。龍神大橋は、黒鉄島開発のプロジェクトの一環ですよね、そして、統括しているのが都知事です。狩山さんがどこへ向かっているのか知りたいです」と話していることから、磯田の真意を知らされていないようだ。

 この会話で磯田から情報を引き出そうとしていることから、むしろ今も狩山の味方だと思われるが、他社のゼネコンや警察、または都知事のスパイの可能性もあり、磯田も警戒していると見える。また、証拠のデータが入ったSSDを隠蔽に加担している常務取締役・桑原(岩谷健司)の前でコーヒーに水没させたのは、桑原がスパイと考えて見せつけたのだろうか。わざわざ2人が外で密会したのもそのためかもしれない。

 ただこのSSDは、狩山から託された主任の南雲(一ノ瀬颯)の婚約者・本宮(山本舞香)がコピーを密かに持っていそうな雰囲気で、最後に狩山のピンチを救う大仕事をしそうな予感がする。

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