バカリズムの独特な“脱力感”が生む心地よさ 『イップス』森野は究極の“ハマり役”に

バカリズム、『イップス』は“ハマり役”に

 これまでにも彼は、『架空OL日記』(2017年/日本テレビ系)『ノンレムの窓』(2022年/日本テレビ系)や『ブラッシュアップライフ』(2023年/日本テレビ系)、映画では『地獄の花園』などにて脚本を担当し、出演もしてきた。作者自身が創り上げた世界観に溶け込むことに関して、特別に珍しいものだとは考えてこなかった(もちろん、誰にでもできるものではない)。しかし他人の書いたキャラクターを演じるとなれば、話は別。いくら当て書きとはいえ、そこではやはり“俳優・バカリズム”に視線が向かう。

 思い返せば、『隣人X -疑惑の彼女-』(2023年)で林遣都が演じる記者に厳しいプレッシャーを与える上司を演じていたし、それはバカリズム自身のパブリックイメージとはかけ離れたものだった。それ以前にも彼の俳優としての出演作は多々ある。演じてきた役がいつもバカリズムらしいものだったわけではない。だから彼の俳優としての器用さと振れ幅の大きさは理解していたものの、『イップス』では圧倒的なハマり役を得たのではないかと思うのだ。


 複数のジャンルでトップクラスの才能を発揮し、成績を残し続けられる者はそうそういない。こと日本のエンターテインメント界において各ジャンルの第一線に立つためには、当然ながら類稀なる才能が必要。(そしてもちろん、努力とともに)その才能をどう活かすかだ。トップクラスになるどころか、第一線に立つことも容易ではないことを誰もが知っている。バカリズムは俳優としてもスゴい。

■放送情報
『イップス』
フジテレビ系にて、毎週金曜21:00~21:58放送
出演:篠原涼子、バカリズム、渡辺大知、味方良介、足立英、勝村政信、角田晃広、矢本悠馬、染谷将太
脚本:オークラ、森ハヤシ
演出:筧昌也
プロデュース:宮﨑暖
プロデューサー:熊谷理恵
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
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