『くる恋』“本当の自分らしさ”を探す重厚なストーリー 宮世琉弥が不敵に笑う意味深ラスト

『くる恋』重厚なストーリーと意味深ラスト

 もちろん、花が好きで花屋で働く光太郎のように、好きなことを仕事にしている人間もいる。好きなことがダイレクトに仕事にならなくても、漫画家を目指していたけれどカフェ店員としてミルクで絵を描く香絵(丸山礼)のように、別の形で「好き」を表現することだってできる。「好き」を仕事にできることは、とても魅力的だ。しかし、みんながそうである必要はないし、そうできないからといって悪いわけでもない。働く意義や目的は十人十色である。第2話では、そんな背中を優しく撫でるような温かいメッセージがふんわりと漂っていたように思う。

 さらに第2話では、まことを取り巻く男性たちとの四角関係もいよいよ本格的に描かれ始めた。そして、今回は“自称・運命の相手”を名乗る律がまことに積極的にアプローチ。お金持ちでイケメン、しかもコミュニケーション能力も高めと非の打ちどころのない律だが、どうやら以前のまことは、彼の前で悪気のない嘘をついていたようだ。

 リングを手がかりに自分の新しい一面を知ったまことは、自分自身についての気づきを得る。自分の「幸せそうな一面」は、意外にも他人が知っていたりするものなのかもしれない。朝日が紹介してくれた福丸醤油への就職を断ったまことは、自分の人生を支えてくれるものが人によって違うことを実感する。 「グラグラになった時に支えてくれる」ものは仕事や趣味だけではない。自分が何を幸せに感じるのかを知っているということ。それ自体が、自分を支えてくれる力強いおまじないになり得るのだ。

 最後に、律が松永(菊池亜希子)と繋がっていたことや、子どもたちを巧みに利用してまこととの出会いを工作していたことが明らかになった。「大丈夫、僕は彼女を幸せにしたいんだから」と不敵に笑う律の真の目的は一体何なのか。意味深なラストで迎えた第2話だが、まことを翻弄する四角関係の行方は、どのような展開を見せるのだろう。

 人は誰しも、心の拠り所を必要としている。それが何であるかを自覚することが、まことにとって新たな一歩となったのかもしれない。記憶を失う前のまことは、誰を思い、何を感じていたのだろう。第3話では、まことが「誰」に心を寄せていたのかのヒントも掴みたいものだ。まことの“心の奥底に眠っているもの”は、いつ目覚めるのだろうか。

■放送情報
火曜ドラマ『くるり~誰が私と恋をした?~』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:生見愛瑠、瀬戸康史、神尾楓珠、宮世琉弥、丸山礼、肥後克広(ダチョウ俱楽部)、片平なぎさ
脚本:吉澤智子
演出:松木彩
プロデューサー:八木亜未
編成:武田梓
製作:大映テレビ、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/darekoi_tbs/
公式X(旧 Twitter):@darekoi_tbs
公式Instagram:darekoi_tbs 
公式TikTok:darekoi_tb

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