「ラッパと娘」「東京ブギウギ」「買物ブギ」 色褪せない名曲と『ブギウギ』を振り返る
「買い物ブギ」
その後、スズ子の買い物姿にインスパイアされたという羽鳥が作った「買物ブギ」は、大阪弁でたくさんの品物を歌い並べ、「オッサン、オッサン」と連呼する斬新な歌詞が印象的な楽曲だ。スズ子と羽鳥というタッグがすっかり定着し、どんなに忙しくともスズ子を見れば「心踊る」名曲が降ってくる羽鳥。この曲からは、そんな2人の勢いが感じられる。
これらの作品が、曲単体で素晴らしいことは言うまでもない。だが『ブギウギ』においては、スズ子と羽鳥が最終回のステージを迎えるまでにどのような道のりを経て関係を築いてきたのかを顕著に表す役割をも果たす。曲を聴けば自然と心が「ズキズキワクワク」して、音楽に心弾ませたこの半年間がよみがえってくるのだ。人々は今後も楽曲を聴くたびに、心から音楽を愛して楽しんだスズ子と羽鳥という大天才の姿を思い起こすに違いない。
ついにグランドフィナーレをむかえ、スズ子の引退コンサートで彩った『ブギウギ』。この作品の持つ明るいムードと共に、笠置と服部の作品の数々は視聴者の心にしっかりと刻み込まれたことだろう。これからもこの輝く名曲を胸に、スズ子や羽鳥のように軽やかに人生を楽しんでいきたい。『ブギウギ』はそう前向きに思わせてくれる作品であった。