『変な家』なぜ賛否分かれる評価に? WEBと映画の繋がりが指し示す業界の未来を考える

『変な家』なぜ賛否分かれる評価に?

 WEBメディア「オモコロ」に掲載され、ネット上で話題となった記事、「【不動産ミステリー】変な家」(※)。「フェイクドキュメンタリー」の構造によって、ある一戸建ての間取り図に記された奇妙な点から浮かび上がってくる、恐ろしくも奇想天外な展開のミステリーに、多くの読者が魅了されることとなった。

 その作者である、全身タイツの装いで仮面を被って顔を隠したウェブライター、雨穴(うけつ)のYouTubeチャンネルで公開された動画版は、現在までに約1700万回もの視聴数を記録し、小説版、漫画版が続けて出版されるなど、メディアミックスされるヒット作となった。

【不動産ミステリー】変な家

 そして、ついに映画化にまで至ったのが、本作『変な家』である。劇場で公開されるや、日本では『デューン 砂の惑星PART2』や『恋わずらいのエリー』、『FLY!/フライ!』などの初週公開タイトルを破り、興行収入ランキング初登場1位を獲得するという、驚きの成績を記録することとなった。だが一方で、その内容には賛否の声が巻き起こっているのも確かだ。ここでは、その理由を探るとともに、WEBと映画との繋がりが指し示す業界の未来についても考えていきたい。

変な家

 『変な家』の記事や動画版の内容に、さらなるミステリーや真相部分を付け加えた小説版を原作に、ホラー的なアレンジを加えている本作。そのストーリーは、原作者・雨穴を想起させる動画配信者「雨男」こと雨宮(間宮祥太朗)が、マネージャーの柳岡(DJ松永)から、奇妙な空間の存在が記された、中古一軒家の間取り図を見せられることで動き出す。その家の近隣で死体が発見されるという事件が起こるなか、知人の建築士・栗原(佐藤二朗)の助けを得た雨宮は、その間取り図に隠された驚愕の真実へと迫っていく。

 本作では、そこに川栄李奈が演じる謎めいた女性・柚希(ゆずき)が謎解きに参加する展開が用意されている。実際に間取り図の家を探索する恐怖体験や、事件に繋がりがあると見られる、因習が残る村の旧家に足を運び、そこでも新たな間取りの謎を解かざるを得ない事態に陥ってしまう。そして、新たな惨劇の幕が上がるのだった。

変な家

 本作が原作小説と最も異なるのは、このストーリーを表現していくなかで、ホラー映画風の恐怖演出があるという部分だ。静止画の顔が歪む表現や、驚愕したような表情で固まる柳岡の姿は、「Jホラー」の代名詞でもある『リング』(1998年)を想起させるし、奇妙な風習のある村で謎の核心へと歩を進めていく描写は、台湾のホラー映画『呪詛』(2022年)を彷彿とさせるところがある。

 原作は、間取りを題材にしたミステリーとしての面白さが軸になっているが、ホラージャンルとして扱った場合、“本当に怖いのは幽霊よりも人間”といった「ヒトコワ系」に分類されるはずである。対して、映画版である本作は、基本的にはそれらの流れに従いながらも、恐怖の表現自体はオカルト風の雰囲気に寄っている。原作小説や、記事や動画版で『変な家』を楽しんだ観客のなかには、こういった映画版独自のアプローチについて違和感をおぼえたケースが少なくなかったのではないかと思える。

変な家

 もともと原作の何が人気を呼んだのかといえば、不自然な間取りの謎を、“変態的”とも感じさせる異様な角度から読み取っていくという過程であり、奇想天外な仮説が飛び出して、線と線が繋がるような快感や興奮にこそあったのだと考えられる。その源流にあるのは、まさしくミステリー文学であり、とくに江戸川乱歩の小説のような魅力を多分に含んでいると感じさせるところがある。

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