柄本佑が役者として大切にしていること 「良い悪いじゃないところに行けたらいい」

柄本佑が役者として大切にしていること

「“今、普通に生きている”ということを大事にしたい」

柄本佑(写真=池村隆司)

――これまで柄本さんが演じられた役の中で、おそらく一番偉い人を演じているのではないかと思いますが、最高権力者を演じる難しさはありますか?

柄本:市井の人間役が多いので、たぶん一番偉い役ですし、今後この偉さを超える役もなかなかないかもしれないですね(笑)。今撮影しているシーンあたりもだいぶ権力を握らせていただいていますが、まさにそのあたりに奮闘している真っ最中で。はっきりとしたことは言えないんですが、特に道長の場合は「最高権力者だ」と思わないこと、1人の人間である、ということでしょうか。当然、そういう差配をしなくてはいけない瞬間や、世の中のことを考えて動かなくてはいけないこともあるけれど、根っことして一番大事になのは、やっぱり第9話の埋葬シーンで直秀たちに謝ってしまうようなところなんだと。さらには末っ子でのんびり屋だったというベースを大事にしないと、最高権力者としてやっていても、どこかフワフワしたものになってしまうような気がしています。

――今回で3度目の大河ドラマ出演となりますが、柄本さんが年齢を重ねることで得たと感じる、役者としての引き出しはありますか?

柄本: “37年間生きてきた”ということくらいしかないかな。今20何年やっていますけど、どんどんシンプルな方向に行っている気がします。セリフを覚えて言うことが、僕らの仕事なんだ、と。それに、セリフを言うことが年々、難しくなってくるなとも感じています。ここからさらに難しくなっていくと思うので、そのためにも“今、普通に生きている”ということを大事にしたい。僕は映画が好きなんですが、映画館に通ったりすることが結局、仕事と自分を繋げてくれるので、そっちを意識していくことになるのかなと思います。理想としては、良い悪いじゃないところに行けたらいいなって。もう37歳で、少ししたら40歳になるので、うまいとか下手とか、そういった世界戦からは脱しないといけない。(柳家)小三治師匠が弟子の三三さんが真打に昇進したときに、「これから三三という名前が『いい名前だな』と言われるかどうかは、本人の仕事次第。良くなっていくか、悪くなっていくかわからないけど、たとえ悪くなっていったときにも、そんな自分も許容して楽しめるくらいになったらいいやね」みたいなことをおっしゃっていて。そんなところまで行けたら、もうちょっと楽しくなる気がしています。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる