『ブギウギ』成長した愛子役・このかが背負う重責 趣里と渡り合う堂々のパフォーマンス

『ブギウギ』“このか”が背負う重責とは?

 ここから愛子の印象が大きく変わったのは、やはりこれまでと比べて彼女が明確な自我を持ったこと。演じるこのかは、愛子を主体性を持ったキャラクターとして演じなければならない。このかも愛子と同じく8歳だ。演じるうえで何を手がかりにしたのだろうか。

 私たちは年齢を重ねるにつれ、他者とのズレを感じ、また同時に共通点も見出すようになる。けれども8歳の子どもが、生まれた時代も環境も異なる8歳の人物像をイメージして演じるのはかなり難しそうだ。もちろん、8歳児ならではの親(=大人)に対する感情は、大きな手がかりになったであろうことが想像できる。しかしそれだけでは、すでにこの『ブギウギ』の世界観で共有されていた“親娘像=スズ子と愛子の関係”を築き上げるのは難しい。子役だって作品の世界観に影響を与える存在だ。しかもこの第24週は愛子の主役回といっても過言ではない。このかは幼くして、なかなかの重責を背負っている。

 とはいってみたものの、何もかもが彼女に押し付けられるわけではもちろんない。真の主人公はスズ子であり、主演は趣里だ。シーンを牽引していくのは彼女である。

 一連のシーンを観ているかぎり、アクションを起こすのは彼女のほうであり、このかはこれに応対するようにリアクションを繰り返している。そして趣里の演技の熱が上がれば、このかの演技の熱も上がっている。このかという幼い俳優は、ガラリと変わった環境に柔軟に溶け込み、その場その場におけるベストな“返し”ができる者らしい。

 しかし、アクションを起こすのは“スズ子=趣里”のほうだと先述したが、そのアクションを起こさせるベースをつくっているのは“愛子=このか”である。一つひとつの場面にいかに存在するかで、シーンの流れは変わってくるはず。浮かない表情だけで自身の内面を視聴者に伝えることに長けており、場の空気をつくる力も優れている。本作でいま最大の注目を浴びているのはほかでもなく、やはり彼女なのだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、生瀬勝久、小雪、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
語り:高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー) 
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
音楽:服部隆之
主題歌:中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」
写真提供=NHK
公式サイト:https://nhk.jp/boogie

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