『大奥』西野七瀬が表現する“子供を守り通す”という決意 お品の板挟み状態が切ない
でも噂話が大好きな女たちが集まる大奥で、このような秘密の逢瀬を隠し通すことはできない。そもそも大奥の女性が将軍以外の男性と関係を持つのはご法度だ。お品と貞之助が会っているところは複数の女中に目撃されるところとなり、たちまち田沼(安田顕)の知るところとなってしまう。将軍以上の支配権を得ることを目論む田沼は貞之助を捕え、弱っている姿を見せながらお品に家治の側室になるように迫った。貞之助を助けたいお品は悩んだ末、それを受け入れるのである。
子が生まれるまでは十月十日と言われているが、その期間は短いようであまりに長い。お品は、心の支えにしてきた貞之助には永遠に会えなくなってしまったし、信頼して尽くしてきた倫子のことを突然裏切ることになってしまった。しかもこの間に倫子はやっと身ごもった子を死産してしまう。お品はきっと自分の行いが倫子に負担をかけたのではないかと気に病んだだろう。倫子のことを思っても辛いが、倫子と貞之助、異なる意味で愛する2人の間で板挟みになってしまったお品のことを思っても辛くなってしまう。
加えて、生まれた貞次郎は“世継ぎ”のできる男児。もちろん田沼は貞次郎を次の将軍にしようとしていた。その後、家治の指名により、次期将軍は竹千代に決まったため、一旦収束し、事なきを得たがお品は意図せず、ひとステージ上の女の戦いに巻き込まれるところだった。現代のように、愛する人を自由に愛せる世であったならどれだけ良かっただろう。揺れ動く自分の気持ちに振り回されないようにするだけで精一杯なのに、それ以外のいろいろに翻弄されてしまうお品や倫子をはじめとした女たちの姿に、悲しい深いため息が出てしまう。
お品は「貞」という字について家治に「強い意志を貫くという意味が込められている」と説明した。これはこの字を名前に入れたいがための言い訳のようにも聞こえるが、「その大切な人を傷つけてまで母になった罪と愛を忘れず、子供を守り通す」という決意もまた本当の気持ちなのだろう。お品にはその気持ちを強く強く持って貫き通して欲しい。
■放送情報
木曜劇場『大奥』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:小芝風花、亀梨和也、西野七瀬、森川葵、宮舘涼太、栗山千明、安田顕ほか
脚本:大北はるか
企画:安永英樹
プロデュース:和佐野健一、清家優輝、出井龍之介、庄島智之
演出:兼﨑涼介、林徹、二宮崇、柏木宏紀
音楽:桶狭間ありさ
制作協力:ファインエンターテインメント
制作著作:フジテレビジョン、東映
©︎フジテレビ
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