藤間爽子が『ブギウギ』に再登場! 真の力量が表れる“変化したタイ子”をどう表現する?
私は“藤間爽子=タイ子”が登場したばかりの頃、「朝ドラ『ブギウギ』で藤間爽子は誰もが知る存在に 踊りと親友ポジションに膨らむ期待」と題した記事の中で、表現者である藤間の“ルーツ”に言及した。彼女は劇団「阿佐ヶ谷スパイダース」の一員でもある俳優にして、日本舞踊の流派のひとつである紫派藤間流の家元を務める存在だ。「三代目藤間紫」という名を持ち、日本の伝統芸能のひとつを継承している。タイ子は芸者なのだから、『ブギウギ』で藤間の踊りが見られることに期待しないわけにはいかない。事実、そういったシーンは用意されていた。短いものではあったが、多くの視聴者がハッと息を呑んだことだろう。
朝ドラ『ブギウギ』で藤間爽子は誰もが知る存在に 踊りと親友ポジションに膨らむ期待
趣里が演じるヒロイン・スズ子の仲間たちも増え、ますます活気づく朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)。若手の女性俳優陣が次々に登場して…
藤間が踊るシーンはこれだけで、思いのほか少ない。スズ子とのコラボレーションなど夢想したものだが、タイ子がいまの様子では難しいだろう。しかし、藤間の力量に触れるには十分だ。このような状態のタイ子をどう表現してみせるのかに、藤間の真の力量が表れるはずなのだから。
健康な人間が普通に眠るのと、体調が優れない人が寝込むのはまったく違う。おそらくほとんどの方が、このどちらも経験しているはず。元気なときは寝床からすぐさま立ち上がることができるが、調子の悪いときは思うようにはいかない。立ち上がることはおろか、寝返りを打つことさえ困難だったりする。腕だってうまく上げられず、呼吸も不安定。ふとした拍子に思いがけず姿勢を崩してしまう。繰り返すようにほとんどの人がこの経験をしているはず。しかし、これを元気なときに再現できるだろうか。私には無理だ。
不調時には不調時の、心身のリズムというものがある。これを私たちがコントロールするのはかなり厳しい。水差しに向かって伸ばした手は、意思に反して震えて届かないかもしれないし、そもそも見当違いなところを彷徨うことにだってなる。こういったものは勘ではなく、俳優自身の身体に対する意識の強さによって表現が実現可能となるもの。つまり、これもひとつの踊りだと捉えることができる。タイ子の様子を見守りながら、このあたりも注意深く見つめてはいかがだろうか。藤間爽子の“踊り”には、タイ子の“これまで”が表れるはずである。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、生瀬勝久、小雪、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
語り:高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
音楽:服部隆之
主題歌:中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」
写真提供=NHK
公式サイト:https://nhk.jp/boogie