『正直不動産2』山下智久の清々しい“本音”が炸裂 ナンバーワンに執着する神木との対比も
そんな永瀬の“正直すぎる”言葉は人を困惑させるばかりではない。はっきりとした物言いに圧倒されるが、核心をつく言葉も多い。藤森に対し「クソなのはあんたです!」と言い切る暴挙に出た永瀬だが、「誰かのせいばかりしてるあなた自身に問題があるんじゃないですか?」「信用を得るべきなのはクレジット会社からじゃなくて、まず彼女からでしょ?」と続いた言葉が藤森の心を刺した。藤森と美玲のため、マンションのオーナー・貴島(ダンカン)を説得していた時には、「どういう人間かなんて見れば分かる」という貴島に「そういうあんたの目玉は節穴どころか安いガラス玉だな!」と言い放った。なかなかヒヤリとする場面だが、永瀬はオーナー側の事情にも寄り添った上で、最も伝えたい言葉を真摯に伝えた。
「履歴やデータなど目に見える基準だけで人は判断できません」
「信用できるかできないかはその人の人間性であるはずです」
永瀬たちの営業姿勢は十影の心を動かした。タムパ主義の十影は始業10分前に出勤し自分から仕事に取り掛かり始めたのだ。「お〜、永瀬の教育の成果かな」という登坂(草刈正雄)の言葉に、永瀬は照れくさそうに「いえ、自分は何も……」と謙遜していた。十影の成長を肌身に感じる永瀬が、安心したような表情で十影を見ていたのが心に残る。
永瀬にとって嘘がつけなくなったのは不本意なことだったが、“正直すぎる”営業スタイルは自他ともに認める揺るぎないものになりつつある。
「正直不動産・永瀬財地」の魅力が詰まった第4話だったが、その幕引きは不穏だった。彼らの様子を見ていたのは、普段と違い、険しい顔つきの神木(ディーン・フジオカ)である。劇中、神木は恐ろしいことをした。業界ナンバーワンを目指したいと話す西岡(伊藤あさひ)に、神木はできるだけ長く水に顔をつけ続けろと命じる。西岡が頭をあげようとした瞬間、神木は頭を押さえつける。西岡は息ができずにもがいた。「殺す気かよ!?」と声をあげた西岡に、神木は淡々と説く。
「今、呼吸がしたいと思ったのと同じぐらい強く、業界ナンバーワンになりたいと思え。そうすれば必ず成功する」
常軌を逸した神木の行動には恐怖を覚える。だが、この気概とナンバーワンへの強い執着心があるからこそ、神木は永瀬の強敵となるのだ。神木の恐ろしさが露見するのはまだまだこれからなのかもしれない。
■放送情報
『正直不動産2』
NHK総合にて、毎週火曜22:00〜22:45放送
出演:山下智久、福原遥、市原隼人、泉里香、松本若菜、長谷川忍、板垣瑞生、松田悟志、馬場徹、伊藤あさひ、財津優太郎、山﨑努、大地真央、倉科カナ、高橋克典、草刈正雄ほか
原作:大谷アキラ(漫画)、夏原武(原案)、水野光博(脚本)
脚本:根本ノンジ、清水匡、木滝りま
音楽:佐橋俊彦
主題歌:小田和正 「so far so good」
制作統括:黒沢淳(テレパック)、山本敏彦(NHKエンタープライズ)、長谷知記(NHK)
プロデューサー:室谷拡(テレパック)、樋渡典英(NHKエンタープライズ)
演出:川村泰祐(アンドリーム)、金澤友也(テレパック)ほか
写真提供=NHK