『正直不動産2』山下智久の清々しい“本音”が炸裂 ナンバーワンに執着する神木との対比も

『正直不動産2』山下智久の“本音”が炸裂

 嘘のつけない不動産営業マンが活躍する痛快お仕事コメディ『正直不動産2』(NHK総合)。第4話「信用って何だ?」では、永瀬(山下智久)と月下(福原遥)がZ世代の新入社員・十影(板垣瑞生)に初めての成約を取らせるべく、そして顧客である藤森(佐藤寛太)とその恋人・美玲(恒松祐里)のために奔走する。

 永瀬と月下は十影のサポートに入った。藤森と美玲はある物件を気に入るのだが、藤森の過去のカード事故が原因で賃貸保証会社の審査が通らず、2人の関係はぎくしゃくしてしまう。その後、藤森と美玲、それぞれの思いを知った永瀬と月下は、2人が幸せになれる場所のため、オーナーに翻意してもらうべく必死の説得を試みる。

 タムパ(タイムパフォーマンス)重視な十影の言動にハラハラする永瀬と月下は観ていて面白い。内見を希望する藤森と美玲に「あっ、俺、6時までなんで……」と十影が口にすると、永瀬は十影の顔を手帳で覆いながら「行けます。今から行けます。すぐ行けます」と十影の言葉を訂正する。永瀬も月下も藤森と美玲に営業らしく対応しつつ、十影を牽制しているのが面白い。月下は藤森と美玲に笑顔で「一緒に全部回りましょうね」と言っていたが、どことなく十影に注意しているようにも見えておかしみがあった。

 そんな中、第4話では、あらゆる場面で永瀬に強めの“風”が吹き付ける。永瀬演じる山下の、清々しさを覚えるほどの言いっぷりと本音を出し切った後の気まずそうな表情が繰り返される様がとても面白く魅力的だった。

 本音が出そうになるたび必死に堪える永瀬だが、“風”の力には抗えない。藤森が賃貸保証会社の審査に落ちた時、永瀬は「ぐっ……」と耐えるものの、やはりこらえきれず「信用ゼロなんだわあ〜」「下手すりゃブラックリスト載ってんじゃねえ〜?」「(審査に)通るわけありません。無理で〜す」と言いたい放題。おちょくるような顔で散々な物言いをした後、月下から「ちょっちょっ……永瀬先輩、黙って座っててください!」と口を押さえつけられる中、自分でも困ったように口を押さえている姿に思わず笑ってしまう。永瀬の本音はなかなか止まらない。

 「ご冗談かましてんじゃねえぞ。ブラックリストから名前が消えんのは5年から7年っていわれてんだよ〜!」とジェスチャー付きで煽るように言う永瀬の表情は憎たらしい。藤森は「俺にケンカ売ってんのか!?」と憤る。確かに、ケンカを売っているようにしか見えない。とはいえ、永瀬自身、言葉に出すべきではない本音だということがわかっている。“7年”を表した手のひらをとっても気まずそうに握りしめる姿にはどことなく哀愁が漂う。

 “風”の力によって嘘がつけないどころか、心に留めておくべきと思われるようなことも言ってしまう永瀬だが、その言いっぷりに清々しさを感じるのは山下が溌剌と演じているからに他ならない。そのイキイキとした面持ちに、本音を言ってしまう場面が演じていて一番楽しいのではないかと思うほどだ。マダム(大地真央)と十影の関係を知った際も、十影を気にかけるマダムの前で「あんな協調性のないクソ社会人、見たことないわ〜」とこき下ろし、「Z世代だか何だか知りませんが、もう手に負えません。無理〜」と本音をぶちまけてしまった。本音をまくし立てる場面での山下の表情には口から言葉が勝手に出てしまう様が感じられる。すべて永瀬自身の言葉にもかかわらず、何かに取り憑かれているようにも見え、“風”の力の強さが改めてうかがえる。

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