『マルス』脚本・武藤将吾×演出・平川雄一朗が語る裏側 “みんなの知らない”道枝駿佑を表現

『マルス』武藤将吾&平川雄一朗が語る裏側

青春もので大切なのは「若い人のエネルギーをいかに爆発させるか」

――武藤さんは『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(フジテレビ系)や『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』などで若手スターを輩出していますが、青春ドラマの醍醐味は?

武藤:僕は若い力を信じています。若い人のエネルギーをいかに爆発させるか。その意味で、青春ものはほかのジャンルとは違う頭の使い方をしています。作り出すキャラクターにかけるエネルギーは、刑事ドラマやサスペンスとは違います。刑事ドラマやサスペンスは、キャラクターよりも筋立てに力を注ぐのですが、青春ものは変な話、多少ストーリーが破綻していても「もっとこの人を観たい」と思わせるようになったらと思っています。毎週観たいと思えるキャラクターを作ることを大切にしています。

――『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』のときより年齢を重ねられて、心境に変化はありましたか?

武藤:なんでまだ僕に青春ドラマを頼むのだろうというのは思います。毎回「もうこれが最後かな」と思いながらやっています。もう徹夜できる年齢でもないですからね。体力の衰えは感じます。でも自分にも子供がいるので、「高校生の感性をしっかりキャッチしないと」とは思っています。

――サスペンス的な側面で、本作をどのように捉えていますか?

武藤:大枠で「こんな感じのキャラクターで、こういう結末になる」というのは伝えてあります。でも役者さんにそれを伝えるかどうかは、演出の方にお任せしています。

平川:武藤さんから聞いていることは、役者には話しています。でも僕自身も未来に何が起こるかは聞いていないんです。武藤さんの頭の中だけにあるので、ちょっと怖いです。この物語は二部構成になっているのですが、後半の4話は、まだどんなことが起きるのかは全く知らない。本当に怖いですよ(笑)。

――「動画配信」というテーマも、“いま”を切り取ったものですね。

武藤:設定は新しいですが、描いているテーマは不変でありたいと思っています。そうじゃないとお客さんはついてこない。いまの子供たちはネットや携帯、下を向いて画面と向き合う時間が長い。それによって見落としてしまうこともある。こんな青春もあるんだよということは伝えたかった。いまを肯定しつつ、傷つくことは怖くないんだよということが伝わればいいなと思っています。

平川:僕は51歳なので、動画配信という設定を聞いたときは、もっと若い人が良いのかなと思ったんです。でも僕らが若い人のツールを使って、伝えられることをしっかり表現できるんだなというのは、この作品に入って感じることができました。

――これから作品を観る方にメッセージをお願いします。

武藤:昔はこういう話を書くとき、ネットの世界と青春を切り離したり、対比したりして描くこともあったのですが、今回は切り離さず、どうやって人と人が向き合っていくのかを大切に描いています。一方で“クーデターサスペンス”と銘打っているように、今後学園を飛び出して、どんどん世界が広がって規模も大きくなっていきます。考察しながら、物語がどうやって帰結していくか楽しみにしてください。

平川:武藤さんの頭にしかない謎が、いろいろなところにちりばめられているので、それをしっかりキャッチするのが大変です。隅々までちりばめられた伏線を考察していただいて、何度も作品を観てくださったら嬉しいです。

■放送情報
『マルス-ゼロの革命-』
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00〜21:54放送
出演:道枝駿佑(なにわ男子)、板垣李光人、吉川愛、井上祐貴、横田真悠、山時聡真、野間口徹、菜葉菜、徳井健太(平成ノブシコブシ)、泉澤祐希、戸塚純貴、山口紗弥加、岩松了、江口洋介
脚本:武藤将吾
音楽:未知瑠
ゼネラルプロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)
プロデューサー:田中真由子(テレビ朝日)、中沢晋(オフィスクレッシェンド)
監督:平川雄一朗、片山修
主題歌:SUPER BEAVER「幸せのために生きているだけさ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作協力:オフィスクレッシェンド
制作著作:テレビ朝日
©︎テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/mars/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/mars_tvasahi
公式Instagram:https://www.instagram.com/mars_tvasahi/

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