『マルス-ゼロの革命-』道枝駿佑が涙の訴え 第1話からどんでん返しの連続に

『マルス-ゼロの革命-』道枝駿佑が涙の訴え

 『マルス-ゼロの革命-』(テレビ朝日系/以下『マルス』)は、第1話から容赦ないどんでん返しの連発だった。

 いじめを苦にまさに自殺しようとしていた高校生の“アイコン”こと逢沢渾一(板垣李光人)の前に突如現れたのが、19歳の謎の転校生“ゼロ”こと美島零(道枝駿佑)。スラリとした長身に金髪でエキセントリックなゼロが渾一に唐突に突きつけるのは「君が抱えている問題を解決できたら俺の言うことを何でも聞く。できなかったら君の言うことを何でも聞こう」という交換条件。続けて彼の口から飛び出した「俺がお前をこの腐った世界から救ってやる」という言葉は、渾一が崇拝する動画配信者・マルスの決め台詞を彷彿させ、彼らは不思議な同盟関係を結ぶことになる。

『マルス-ゼロの革命-』

 まずは渾一が1人で運営している動画研究会を部に昇格するべく7人の部員集めを難なくクリアし、そして渾一がいじめられている現場を動画で生配信。その後カメラを止めるとゼロは澤井(西垣匠)らいじめっ子たちを完膚なきまでに叩きのめす。いじめの首謀者だった澤井は自主退学を申し出て、渾一へのいじめ撲滅も早々に実現した。さらにその中でいじめっ子らにスクールカウンセラーの毛利(野間口徹)が違法薬物を提供していたことまで暴き、学内の膿を炙り出した。最終的にこのゼロが実は1年前に突如動画配信をやめてしまったマルスであり、渾一の憧れの存在であることが明かされる。活動休止していたマルスがこの動画研究会のアカウントでこれから配信を再開し、学校を飛び出して社会にはびこる闇と闘う決意表明をする怒涛の展開だ。

 なるほど、問題山積の学校に突然やってきたダークヒーローが問題を次々解決しながら、仲間を増やし、腐った世界を変えていく。そんなお話かと思いきや、本作はそれだけには留まらない。

『マルス-ゼロの革命-』

 まず、自殺を考えるほどに追い込まれていた渾一は、一方的にいわれなきいじめを受けていただけではなかった。実は、学校の敷地内で違法薬物の原材料になる植物を栽培しているという毛利の秘密を知ってしまった渾一は、毛利から脅迫を受け、この薬物の購入先になる他の学生を紹介するように交換条件を突きつけられていた。

 まず毛利がとんでもない教師なのは間違いないが、渾一は澤井らをそんな毛利に紹介してしまう。悲劇の始まりはここからだった。澤井らは仲介手数料をとり、他の生徒らに違法薬物を売るようになり学校中でこれが蔓延。確かに澤井らは渾一の上着を焼却炉で燃やし、次に彼の腕を突っ込もうとするなど“加害事件”と言える残忍性を見せていたが、もしかするとここまでいじめがエスカレートしてしまった一端にはこの違法薬物の影響が関与していたかもしれない。どんな理由があれ、たとえ相手がいじめ加害者であっても、渾一は澤井らを自分の身代わりに毛利に突き出したことに違いない。

 また、自身に不利になるような部分はカットした偽の脅迫メールまで偽装し、ゼロに毛利の悪事を暴かせるように誘導もしていた。ゼロは、そんな小賢しく自己保身にばかり走る渾一の弱さや卑怯さそのものも追求し、手加減なしに対峙した。渾一を単なるいじめの被害者には終わらせなかったのだ。

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