『ゴールデンカムイ』期待通りのヒット 今後心配なのは山﨑賢人の負担?

『ゴールデンカムイ』期待通りのヒット

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 1月第3週の動員ランキングは、『ゴールデンカムイ』が初登場1位を獲得。オープニング3日間の成績は動員35万6000人、興収5億3400万円。12月公開の『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』以降、目ぼしいヒット作がなかった全国シネコンにとっては、まずはほっと一息といったところ。

 『ゴールデンカムイ』は主演が同じ山﨑賢人というだけでなく、原作が『週刊ヤングジャンプ』連載のコミックであること、そして脚本、音楽、複数のプロデューサーなどが『キングダム』シリーズと重なっている。その『キングダム』シリーズの同期間との興収比では、2019年4月に公開されて累計興収57.3億円を記録したシリーズ1作目『キングダム』の77%、2023年7月に公開されて累計興収56億円を記録したシリーズ最新作『キングダム 運命の炎』の51%という成績。原作の累計部数の差(『ゴールデンカムイ』は2700万部超、『キングダム』は1億部超)を考慮すれば、想定内の出足と言っていいだろう。

 まだ原作コミックを一部しか消化していない今回の『ゴールデンカムイ』にとっての最重要課題は、過去にいくつかあった「続編を予定していたのに実現できなかったコミック実写化作品」の二の轍を踏むことなく、『キングダム』のように安定して高興収を叩き出すシリーズ作品の道を踏み出すことだったに違いない。その点では十分な成績。心配があるとしたら、ハリウッド映画で喩えるならスーパーマンとバットマン、いや、ユニバース作品で顔を合わせることがないという意味ではスーパーマンとアイアンマンのどちらも演じることになった山﨑賢人の過度な負担やスケジュールの都合だろうか。

 本コラムで過去にも述べてきたように、日本のメジャー配給会社にとっての長年の課題の一つは、アニメーションのフランチャイズ作品のように、年間のスケジュールに安定をもたらず実写のヒットフランチャイズ作品を同時期に複数確立させることだった。いずれも東宝の配給作品(『キングダム』はソニーとの共同配給)ではあるが、ようやくここにきてその足がかりをつかんだことになる。その一方で、昨年から急速に北米では観客のフランチャイズ作品離れが起こっているわけだが。

■公開情報
『ゴールデンカムイ』
全国公開中
出演:山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、工藤阿須加、栁俊太郎、泉澤祐希、矢本悠馬、大谷亮平、勝矢、高畑充希、木場勝己、大方斐紗子、秋辺デボ、マキタスポーツ、玉木宏、舘ひろし
原作:野田サトル『ゴールデンカムイ』(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督:久保茂昭
脚本:黒岩勉
音楽:やまだ豊
アイヌ監修:中川裕、秋辺デボ
製作幹事:WOWOW・集英社
制作プロダクション:CREDEUS
配給:東宝
©野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
公式サイト:kamuy-movie.com
公式X(旧Twitter):@kamuy_movie
公式Instagram:@kamuy_movie

『今週の映画ランキング』(興行通信社):https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/

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