『ブギウギ』趣里と小雪が体現する異なる愛の形 “家族”になれないスズ子が切ない

『ブギウギ』趣里と小雪、異なる愛の形

 『ブギウギ』(NHK総合)第79話では、愛助(水上恒司)が母・トミ(小雪)を説得しようとした矢先、病に倒れてしまう。

 翌日、坂口(黒田有)から愛助が倒れたと連絡を受けたトミが病院へやってきた。トミは病室の扉が開くや否や、秘書の矢崎(三浦誠己)を押しのけて愛助に詰め寄る。トミは今にも泣きそうな声で「あんたは、ほんまに……」と言葉を詰まらせた。ベッドから起き上がり、母を見つめる愛息子の姿に安堵を覚えつつ、自分の命よりも大切な息子への心配は尽きない。トミは愛助に駆け寄ると、ぎゅっと強く抱きしめた。小さな子どもを抱きしめるかのようなトミに、愛助は「なんや、おかあちゃん。大げさや」と押しのけるが、トミの息子を大切に思う気持ちの強さは一目瞭然だ。

 トミは愛助に大阪に戻るよう言い聞かせる。最初に愛助が倒れた時、愛助とスズ子(趣里)を信じて大阪に連れ戻さなかったと話すトミは、「ワテはあんたらを信用したんや。せやけど、それはワテの間違いでしたわ」とスズ子を冷たい目つきで睨みつけた。

 トミを演じる小雪が見せた怒りの表現は迫力ある叱責だけではない。確かに坂口や山下(近藤芳正)を非難する強い口調や反抗する愛助に声を荒らげる様にも強い怒りを感じるが、それ以上にこたえるのがスズ子への態度だ。「あんた(愛助)がこないなるまで気づかへんのはおかしい」と呟いてから、トミはスズ子を視界に入れていない。

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