『アクアマン/失われた王国』有終の美を飾れず 「空白の1年」で状況は変わるか?

『アクアマン/失われた王国』有終の美飾れず

 1月第2週の動員ランキングは『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』が週末3日間で動員22万7000人、興収3億1700万円をあげて4週連続1位に。累計動員は361万8000人、累計興収は48億5900万円。今週末にも興収50億円超えが確実となっている。

 初登場作品で最上位につけたのは2位の『ある閉ざされた雪の山荘で』。オープニング3日間の動員は15万1500人、興収は2億1900万円。同日公開、「アクアマン」の単独シリーズとしては2作目となる『アクアマン/失われた王国』は初登場3位。オープニング3日間の動員は14万8000人、興収は2億3900万円と、興収では『ある閉ざされた雪の山荘で』を上回っている。

 ワーナーのお家騒動や作品評価と興収の低迷などの紆余曲折を経て、結果的にDCエクステンデッド・ユニバースの最終作となった『アクアマン/失われた王国』。2019年2月に日本公開された前作とのオープニング3日間の興収比では76%。DCのユニバース作品もマーベルのユニバース作品も、日本では北米ほどの極端な落ち込みはみせていないものの、そもそも最盛期の数字がまったくのケタ違いなので、もし今後もこの水準で興収が下がっていったらさすがに日本でも公開規模が維持できなくなる。今後予定されているDCとマーベルのスーパーヒーロー映画のリセットは、日本での興行とはほぼ関係ないところで起こっている出来事だが、いずれにせよタイミング的にも必然だったと言わざるを得ない。

 今年これから公開が予定されているマーベルのスーパーヒーロー映画は、ユニバースからの独立性が高くなるに違いない、旧20世紀フォックスからディズニーに権利が移った「デッドプール」の最新作『デッドプール3』の1作品のみ。ワーナーにいたってはゼロ(『ジョーカー』続編は前作同様あらゆる意味でスーパーヒーロー映画と呼べるような作品にはならないだろう)。独自にスパイダーマン・ユニバースを展開しているソニーは『マダム・ウェブ』『クレイヴン・ザ・ハンター』などの公開を予定しているが、ディズニーとワーナーが牽引してきたこの10数年間のスーパーヒーロー映画ブームは、公開スケジュールからも明らかなように、この「空白の1年」の間にユニバース全体の大きなテコ入れがおこなれる予定だ。

 新たに設立されたDCスタジオで共同CEOに就任したジェームズ・ガンが統括する、新生DCユニバース作品のお目見えは、映画作品としては2025年7月に北米公開が予定されているジェームズ・ガン監督・脚本の『Superman: Legacy(原題)』となる。それまでの1年半(公開が延びる可能性もありそうだが)で、現在の「スーパーヒーロー映画疲れ」の世の中のムードが変わる可能性は十分にあるだろう。一方で心配なのは、監督や脚本家の降板が続いていて、私生活のスキャンダルを理由としたジョナサン・メジャースの解雇だけでなく、これまで出演してきたアクターたちも続投について言葉を濁し始めているマーベルの方だ。

■公開情報
『アクアマン/失われた王国』
全国公開中
監督:ジェームズ・ワン
出演:ジェイソン・モモア、パトリック・ウィルソン、アンバー・ハード、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世、ニコール・キッドマン、ドルフ・ラングレン、ランドール・パーク
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. TM & ©DC

『今週の映画ランキング』(興行通信社):https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「映画興行分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる