清水くるみ、朝ドラ出演を経て再確認した役者業への思い 「細く長くお芝居を」
歌手として戦後の日本を明るく照らした笠置シヅ子の生涯をモデルに、ヒロイン・スズ子(趣里)の笑いと涙の人生を描くNHK連続テレビ小説『ブギウギ』。スズ子の梅丸少女歌劇団(USK)時代の同期、“リリー白川”こと、白川幸子を演じるのが清水くるみだ。連ドラ初主演を飾った『親友は悪女』(BSテレ東)をはじめ、『いちばんすきな花 』(フジテレビ系)や『時をかけるな、恋人たち』(カンテレ・フジテレビ系)といった民放ドラマに多数出演。出演者の一人に名を連ねた舞台『月とシネマ』も東京と大阪で上演されるなど、各方面から引っ張りだことなった2023年を振り返ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
朝ドラは、作る側のエネルギーが観る人に元気を与える
――改めて、朝ドラ出演が決まった時の心境を教えてください。
清水くるみ(以下、清水):念願の朝ドラだったので、とても嬉しかったです。私がこの世界を目指したのも朝ドラがきっかけでしたし、大学の卒論で朝ドラ研究をしたり、以前からオーディションも受けていたので、「やっと決まった……!」って感じでした。
――清水さんは朝ドラ『てるてる家族』(2003年度後期)を観て、宝塚を目指したそうですね。今回、宝塚や松竹歌劇団と並び、日本三大歌劇団の一つに挙げられるOSK日本歌劇団がモデルとなった梅丸少女歌劇団(USK)のレビューガールを演じてみていかがでしたか?
清水:衣装やメイクもやっぱり特殊だなと思いました。ミュージカルにも出演しているので、舞台用の派手なメイクには馴染みがあるんですけど、また全然違いますよね。女役はメイクでタレ目にするんです。そういったことも含め、憧れだった世界にこういう形で入れて感激しました。欲を言えば、男役も演じてみたかったですね(笑)。でも、私は宝塚に入れていたとしても男役をやるには身長が足りないし、顔立ち的にも「娘役っぽいよね」とよく言われます。
――男役の清水さんもいつか見てみたいです。本作には出演者の一人にOSKの現役男役スター・翼和希さんも名を連ねていますが、どのような雰囲気でご一緒に稽古されていたのでしょうか?
清水:USKのショー場面は実際にOSKの方々が制作に携わってくださったり、稽古中も翼さんがみんなを引っ張ってくださったからこそ、本格的なものになったと思っています。私たちも食らいついていくのに必死でした。ただ、稽古現場は女子校みたいな雰囲気で和気藹々としていましたね。リードしてくださる翼さんがムードメイカーで、私たちを常に和ませてくださったので本当に感謝してます。
――清水さんはご自身が演じられるリリーと似てるなって感じる部分はありますか?
清水:リリーは本当に自分と似てるなって思います。別に男をとっかえひっかえしているというわけじゃないんですが(笑)、リリーって失恋しても「フラれたー! やけ食いして次行くぞー!」みたいな感じで後に引きずらないじゃないですか。
――たしかにリリーがくよくよ悩んでいるところは見たことがないですね。清水さんも悩むことは少ないですか?
清水:自分でいうのもなんですけど、全部笑いに変えちゃう性格なんです。例えば、誰かに何か嫌なことをされて、それを第三者に話す時もネガティブな感じで伝えないというか。以前、友達に「こういうことがあって~」と話したときも、「他の人から同じ話を聞いた時は悪口に聞こえたけど、くるみから聞くとそうは思わなかった」って言われて嬉しかったんです。私自身も悪口のつもりはなかったし、どちらかといえば笑ってほしくて伝えたことだったので、そういうふうに伝わって良かったなと思いました。怒るときも「プリプリ怒るよね」ってよく言われます(笑)。
――リリーも恋多き女なので、性格もいわゆる女の子らしい感じかと思いきや、意外にサバサバした性格で驚きました。
清水:最初に台本を受け取った時に難しいなと思ったのは、リリーって演じ方によってはすごく嫌な女の子にも見えるじゃないですか。同性から好かれないキャラクターとして演じようと思ったらいくらでも演じられる。仲間たちがみんな一生懸命練習して、悩んだりしているのに、リリーはいつも色恋の話ばかりしてて「なんなの?」って。だけどそれもひっくるめて、みんなが「トホホ……この子はもうしゃーないな」って笑えるような子にしたかったんです。台本で描かれているリリーも、どんどんそういうキャラクターになっていったので、時には嫌われることも大事だけど、これは嫌われないようにしなきゃいけない役だと思って気をつけて演じました。
――第11週の放送でスズ子が、リリー・桜庭(片山友希)・秋山(伊原六花)らUSKのメンバーと久しぶりに再会を果たすシーンも話題となりました。仲の良い雰囲気がひしひしと伝わってくる場面でしたが、現場も常にああいう感じなのでしょうか?
清水:私に限らず、趣里ちゃんも、(片山)友希ちゃんも、(伊原)六花ちゃんも、USKのメンバーはみんなそれぞれの役と似てるなと思いますし、私たちの関係性も割とそのままですね。練習中も普通に「全然できてないやん!」ってツッコミ合ったり、「どうやってやるん?」ってお互いに動きを確認し合ったりしていました。趣里ちゃんに関しては私の方が歳下なんですが、「今日もかわいいね~」って普通にいじくり回したりしていたので、姉御って呼ばれていた時もあります(笑)。それくらいお互い気兼ねなく、楽しく過ごしてましたね。
――スズ子が上京してからは、しばらく撮影で会えなくて寂しかったのではないでしょうか。
清水:寂しかったです!趣里ちゃんもすごく寂しかったみたいで、忙しいだろうに離れてからはしばらく毎日LINEでやりとりしてました。しかも、深夜の2時くらいまでメッセージのラリーを続けていたので、こっちが「セリフ覚えなくて大丈夫?」って心配になるくらい(笑)。でも、「これが息抜きになる」って言ってくださって、私も嬉しかったです。
――先ほど大学の卒論で朝ドラの研究をされたとおっしゃっていましたが、実際の現場も経験された清水さんにとって、朝ドラとは?
清水:今回、朝ドラの放送を毎日追って観ているんですが、やっぱり元気をもらえます。何よりも、趣里ちゃんのお芝居が素晴らしい。これは視聴者の方にも伝わってほしいんですが、通常のドラマで15分間、主役が出てこないことって普通にあるじゃないですか。でも朝ドラの場合は15分の中に1回は必ず出なきゃいけないし、基本的には出ずっぱりで。それを週5日放送してるので、単純に主役の出演量が多い。加えて、毎回の放送で1つは小さな山場があるから、お芝居で感情をさらけ出さなきゃいけない場面も通常より多いんです。だから、傍から見ても「朝ドラのヒロインって本当に大変なんだな」ってすごく感じて。同時に、これだけ作る側がエネルギーを注いでいるからこそ、観てる人も朝からパワーをもらえるんだなと身に沁みて感じました。
――そんな中で、趣里さんの座長力についてどのように感じられましたか?
清水:一旦撮影が終わり、舞台『月とシネマ2023』の大阪公演中にスタジオ収録を見学させていただいたんですが、「東京ブギウギ」を歌う趣里ちゃんを見て「笠置さんが降りてきた!」って思いました。それくらい主役としてのオーラが半端じゃないんですよ。周りへの気配りもすごくて、隅っこで落ち込んでいる子がいたら、他のみんなが気づいていなくても、趣里ちゃんだけは気づいて声をかけにいくんです。まさに中心に立つべき人だなと思いました。