『正直不動産2』ディーン・フジオカの演技の真骨頂 “悪魔的営業”で客を魅了する神木

『正直不動産2』ディーン・フジオカの真骨頂

 痛快お仕事コメディー『正直不動産』(NHK総合)がシリーズ第2弾として帰ってきた。あることをきっかけに嘘をつけなくなった不動産営業マン・永瀬財地(山下智久)が、その正直過ぎる営業スタイルで「いい家と出会いたい」と願う人々の夢を心ない不動産屋から守っていく。

 シリーズ第1弾に引き続き、1月9日に放送された『正直不動産2』(NHK総合)の初回でも、永瀬の正直すぎる営業やカスタマーファースト命の月下咲良(福原遥)との息の合ったやりとりは健在。加えて、給与や出世よりプライベートを重視するZ世代の後輩・十影健人(板垣瑞生)や「大事なのは売り手や貸し主だ」と月下とは相反する理念を掲げる同僚・藤原結弦(馬場徹)など、一癖も二癖もある同僚たちが新たに登場した。

 そんな中、ディーン・フジオカ演じる神木涼真は強烈なインパクトを残した。一癖、二癖どころではない強い存在感がある。神木は元登坂不動産の営業マンで、かつての永瀬の師匠である。神木は嘘をいとわない悪魔的な営業でナンバーワンの座に君臨し続けたが、バカンス中に永瀬に一度だけ成績を抜かれたことで退社。そんな神木がライバル・ミネルヴァ不動産に入社し、登坂不動産に牙をむく。

 神木の言動は随所で不気味さが感じられる。一見すると、彼の言動はごく自然に人を惹きつけるものに感じられる。神木の明瞭な話し口は内容が理解しやすいし、その声色は落ち着き払っていて聞く人の耳に確実に届く。何より笑みをたやさない。だが、ミネルヴァ不動産の部長・花澤涼子(倉科カナ)についてプライバシーの侵害と言わしめるほど徹底的に調べ尽くしたり、「営業は笑顔が命」という理由で印象的な笑顔になるよう整形したり、常軌を逸しているともいえる行動もとる。

 神木が披露するタップダンスも興味を引く。神木のタップダンスは予告編でも度々見られていたが、だいぶ癖が強い。初登場時に見せたスタイリッシュな立ち姿も可笑しみが感じられたが、永瀬と再会を果たした際の仰々しいステップはとてもコミカルに映った。

 永瀬は元上司である神木について「あの人は異常なぐらいナンバーワンにこだわる。何かに取りつかれたみたいに」とこぼしていた。ナンバーワンになるためなら、神木は文字通り何でもするのだろう。そんな神木の堂々とした立ち居振る舞いには、それが嘘だらけの悪魔的営業だと分かっていても魅了されてしまう。次々と成約を決めていく神木は、着々とナンバーワンに近づいていくのが心地よく感じられるのか、不敵な笑みを浮かべている。顧客をエレベーターまで見送った後、颯爽と振り返った時のこともなげな顔つきが印象的だった。神木はあっという間にミネルヴァ不動産のナンバーワンに君臨する。神木はそのことに驕るどころか、それがさも当然といった佇まいで周囲を圧倒する。

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