『正直不動産2』ディーン・フジオカの演技の真骨頂 “悪魔的営業”で客を魅了する神木
物語終盤で見せたディーン・フジオカの演技にも驚かされた。永瀬は神木の商談に割って入ると「あなた方ご家族はタワマンにふさわしくない」と言い切った。永瀬の正直な訴えが、田口(戸次重幸)一家の心を動かす。売却と購入の流れについて助言する永瀬に、神木は「無関係の登坂が口を挟むな」と苛立つが、妻・友梨佳(土村芳)に十分な説明がなされていないことを月下から諌められる。この時、神木はジロリと永瀬たちを睨みつける。感情が表立って表れてはいないものの、かすかな目の動きや息ののみかたで、永瀬たちへ憤る様がうかがえた。怒りを押し殺すかのように深く息をついた後、田口一家に向かって微笑んでみせるが、その胸中は計り知れない。
神木はさまざまなテクニックを駆使し、客に親近感を抱かせ、考える隙を与えず、虚栄心をくすぐる。表向きは好意を抱かせる人物像だから恐ろしい。しかしそんな神木を演じているディーン・フジオカの演技の真髄は、表立った表情や台詞で表されない神木の本音を表しているところに感じる。
第1話では本心を表に出さなかった神木だが、今後その笑顔が崩れる瞬間があるかもしれない。嘘をつけない永瀬のように、神木が本音を見せる時のディーン・フジオカの演技にも期待が高まる。
■放送情報
『正直不動産2』
NHK総合にて、毎週火曜22:00〜22:45放送
出演:山下智久、福原遥、市原隼人、泉里香、松本若菜、長谷川忍、板垣瑞生、松田悟志、馬場徹、伊藤あさひ、財津優太郎、山﨑努、大地真央、倉科カナ、高橋克典、草刈正雄ほか
原作:大谷アキラ(漫画)、夏原武(原案)、水野光博(脚本)
脚本:根本ノンジ、清水匡、木滝りま
音楽:佐橋俊彦
主題歌:小田和正 「so far so good」
制作統括:黒沢淳(テレパック)、山本敏彦(NHKエンタープライズ)、長谷知記(NHK)
プロデューサー:室谷拡(テレパック)、樋渡典英(NHKエンタープライズ)
演出:川村泰祐(アンドリーム)、金澤友也(テレパック)ほか
写真提供=NHK