藤津亮太の「2023年 年間ベストアニメTOP10」 テレビシリーズも粒揃いの豊かな1年に

藤津亮太の「2023年アニメTOP10」

 『天国大魔境』第8話は、“医師”と呼ばれる男性と、機械に繋がれている女性の関係性が描かれる。2人の関係性が具体的に明らかになるのは物語がもっと進んでからだが、光と影、瞳に映る空、夕景とカラスといった要素が情緒をかきたて、粒ぞろいの各話の中でも特に印象に残るエピソードだった。

『サマータイムレンダ』に続け! 2023年、独占配信だったけれどぜひ観ておきたいアニメ5選

読者のみなさんはアニメを放送と配信のどちらで観ているでしょうか? 筆者は東京近辺に住んでいることもあり、観たいアニメをほぼ放送、…

 『アイドルマスターシンデレラガールズ U149』は、「シンデレラガールズ」の中でも小柄な女の子だけ集めたユニットを扱うシリーズで、「あざとい」作品になるのかと思ったら、そうではなかった。描かれたのは「大人の都合」と「子供の気持ち」のズレ。第1話では、そのズレの合間で右往左往する新人マネージャーと、子供代表である橘ありすの心の距離の変化を、大胆なレイアウトや階段を舞台にした演技で組み立てていて、おもしろかった。

 『REVENGER』はフィクショナルな長崎を舞台にした“必殺もの”の時代劇。こういうテイストの作品はもっとあってもいいと思うが案外少ない。阿片中毒の陰間が尼寺で売られているという第7話もインパクトがあったが、最終回の第12話を選んだのは、その幕切れが実に“らしい”締めくくりだったからだ。

オリジナルアニメ「REVENGER」(リベンジャー)PV第5弾

 『いきものさん』は、短編『グレートラビット』(2012年)でベルリン国際映画祭短編部門で銀熊賞を受賞した和田淳によるテレビアニメ。意味不明な儀式(?)を気持ちのいい動きで描く和田の作風でテレビアニメが成り立つのかと思ったが、見事に和田の世界とポピュラリティが両立していた。第10話は「動きの気持ちよさ」に音楽が加わって快楽がマシマシの一編。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる