『ブギウギ』は芸能界の裏側を映し出す スズ子にとって梅丸はどんな存在だったのか? 

朝ドラ『ブギウギ』は芸能界の裏側を映し出す

 コロナ禍であらゆる価値観が一変し、フリーランスとなった人は多い。ここでは芸能の世界にフォーカスするが、とくに俳優業を営む人々がそれまで所属していた芸能事務所から独立したことが印象深いのではないだろうか。そこにはそれぞれ固有の理由があるのだろうが、真意は分からない。だが、事務所(=組織)に所属するメリットとデメリット、フリーになることのメリットとデメリットがあるのはたしかだ。

 事務所に所属していればいろんな面で守ってもらえるかもしれないが、フリーであれば基本的に自分の身や立場は自分で守るしかない。ときに所属者は事務所の方針に従って仕事に取り組まなければならないこともあるはずだが、フリーであればセルフブランディングは自由自在。どの職種でもそうなのだろうが、それぞれの世界でのコネクションと、ひとりでやっていくだけの持久力や自信を持つ者だけがフリーランスになることができる。

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 正直なところスズ子はフリーランスで十分にやっていけるだろう。彼女は“ブギの女王”と呼ばれるスターだ。梅丸のライバルである日宝から引き抜きの話があった際には、それが騒動にまで発展したほどである。事務所の移籍騒動は現在の芸能界でもしばしば起こっているが、才能のある人材があちこちから声をかけられるのは当然のことだろう。

 スズ子は大阪の「梅丸少女歌劇団(USK)」で表現者としての基礎力を身につけ、「UGD」では技を磨き上げてきた。それに、天才的な作曲家・羽鳥善一(草彅剛)や、生涯のライバルとなる茨田りつ子(菊地凛子)らなどとの出会いにも恵まれたのだ。あとはこれらを彼女の強みとして、時代にどう立ち向かっていくのかだろう。

 筆者はフリーランスでライター業を営んでいるが、ひとりでサバイブしていくのはかなり大変だ。生活の糧として日常的に原稿を書くことはもちろん、書きたいことだけを好き勝手に書けるわけでもない。いろいろなところでバランスを取りながら持久戦を繰り広げていかなければならないのだ。比べられるものではないが、スズ子はとても険しい道を歩んでいる。さあ、これからが正念場である。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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