『【推しの子】』第2期の見どころは? メディアミックスの裏側と有馬かなvs黒川あかね

 メディアミックスの裏側が描かれる一方で、物語は有馬かなと黒川あかねの直接対決にも向かっていく。第1期の最終話で『今日あま』の鏑木プロデューサーは、舞台を手がける雷田澄彰から人気漫画『東京ブレイド』の舞台化にあたってキャスティングを相談される。そうしてアクアと黒川、有馬は鏑木の誘いで本作に出演することになったわけだが、アクアが演じる「刀鬼」と黒川が演じる「鞘姫」は恋人、しかし有馬が演じる相棒キャラの「つるぎ」も「刀鬼」とのカップリングが人気という役柄。つまり実生活での三角関係が役にも投影されており、かねてからのライバルだった有馬と黒川の戦いの幕が切って落とされるわけだ。その戦いはアクアを巡るものであると同時に、どちらが優れた役者であるのか競うものでもある。2人の“役者論”を中心に、2.5次元舞台に関わってくるキャラクターがそれぞれ役者として舞台にどう向き合うのかを丁寧に描く点も、第2期の大きな見どころとなるだろう。

 注目すべきは、その過程でアクアの心理にも焦点が当てられることだ。彼はもともと裏方志望で、役者を目指しているわけではない。しかし、アイの死の真相に近づくために鏑木プロデューサーから「劇団ララライ」に近づくことを勧められ、今回のオファーを受けた。しかし舞台役者は基本的に演技に対して熱を持っている人が多く、彼らの中で稽古を重ねていくうちにアクアも“演技”に対して向き合わざるを得なくなっていくのだ。

 第1期に比べて芸能界の闇的なダークな要素は薄まるものの、それ以上にメディアミックスの裏側、キャラクターそれぞれの志と成長が感じられて爽快感も多い「2.5次元舞台」編。特に漫画の中でも大きくフィーチャーされていた「舞台の仕掛け」や、実際に動きと声が乗せられた『東京ブレイド』の公演など、アニメ化されることで楽しみな要素もいっぱいだ。具体的な放送時期は未定なので、続報を待ちたい。

■配信情報
『【推しの子】』
各種配信サイトにて配信中
原作:赤坂アカ、横槍メンゴ(集英社『週刊ヤングジャンプ』連載)
キャスト:大塚剛央(アクア)、伊駒ゆりえ(ルビー)、潘めぐみ(有馬かな)、石見舞菜香(黒川あかね)、大久保瑠美(MEMちょ)、伊東健人(ゴロー)、高柳知葉(さりな)、内山夕実(アクア幼少期)
監督:平牧大輔
助監督:猫富ちゃお
シリーズ構成・脚本:田中仁
キャラクターデザイン:平山寛菜
サブキャラクターデザイン:澤井駿
総作画監督:平山寛菜、吉川真帆、渥美智也、松元美季
メインアニメーター:納武史、沢田犬二、早川麻美、横山穂乃花、水野公彰、室賀彩花
美術監督:宇佐美哲也(スタジオイースター)
美術設定:水本浩太(スタジオイースター)
色彩設計:石黒けい
撮影監督:桒野貴文
編集:坪根健太郎
音楽:伊賀拓郎
音響監督:高寺たけし
音響効果:川田清貴
OPディレクター:山本ゆうすけ
EDディレクター:中山直哉
アニメーション制作:動画工房
オープニング主題歌:「アイドル」YOASOBI
エンディング主題歌:「メフィスト」女王蜂
©︎赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会
公式サイト:https://ichigoproduction.com/
公式X(旧Twitter):@anime_oshinok

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