吉岡里帆と永山瑛太のキスシーンに凝縮された『トキコイ』の醍醐味 胸熱なサプライズも

翔と廻の別れに見た『トキコイ』の醍醐味

 11月28日に放送された『時をかけるな、恋人たち』(カンテレ・フジテレビ系)第8話のエピソードタイトルは「サマータイムパトロール・ブルース」。これはもちろん、永山瑛太が主演を務め、上田誠の戯曲を映画化した『サマータイムマシン・ブルース』から来ているのだろう。18年越しに同じタッグで、しかも劇中には同作のキーアイテムとなったエアコンのリモコンが未来の通信機器として登場。なんと胸熱なサプライズだろうか。

 未来人と過去人が一緒になるために、過去に逃避行中の廻(吉岡里帆)と翔(永山瑛太)。天野(伊藤万理華)の言葉を受け、航時法が変われば願いが叶うかもしれないという期待を抱いた2人は、少しでも廻の任期が延びるようにと時間犯罪者を捕まえて昇進することを画策する。はたして時間犯罪者はどこにいるのか。翔には思い当たることがあり、向かったのはかつて翔と大学時代の廻が出会った2013年。しかしそこに、どういうわけか2023年からタイムボードに乗って広瀬(西垣匠)が現れるのだ。

 翔がこの時に未来からやってきたのは、“クロノサーチ”によって当時のSNSに発見された2013年らしからぬ言葉の出どころを探るというミッションのためだった。そこで周囲に溶け込むように歩きスマホをしながらキャンパス内を移動していた矢先、廻とぶつかるという、実に古典的な出会いを果たすのである。無論、2023年の翔が見つけだそうとした時間犯罪者の正体は広瀬であり、そして翔自身であったということが早々に発覚する。とにかく今回のエピソードの肝となるのは、たった10年でこんなにもいろいろ々なことが変わるのかという驚きの連続である。

 「あたおか」「リアコ」「ワンチャン」「レベチ」「バズる」などなど。2013年にはまったく世の中に浸透していなかった現代語をさも当たり前のように口にしたがために、近くにいた学生たちが珍しがってSNSで呟いてしまう事件へと発展する。さらには当時まだ日本に上陸してさえいなかったマリトッツォ(2014年に持ち込まれ、ブームになったのは2020年以降だ)に、完全ワイヤレスのイヤホン(こちらも世界で最初に発明されたのが2014年だそう)。

 どれもすっかり馴染み深いものになっており、それこそ1980年代のエピソードに見受けられた“現代には存在しないものに溢れた時代”と、今回の“現在では当然のように存在するものがない時代”とでは、一口に“過去”とくくっても大きな違いがあることを痛感させられる。その一方で、ラストに描かれる10年前の翔と廻の別れのシーン。“未来のキス”と“2013年現在のキス”を互いに贈り合い、それを見ている2023年からやってきた2人。過去と現在と未来がそれぞれ複数混在しあうことで生まれるエモーショナル。今回のエピソードはこれまで以上に『トキコイ』の醍醐味が凝縮されていたといえよう。

■放送情報
火ドラ★イレブン『時をかけるな、恋人たち』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜23:00〜放送
出演:吉岡里帆、永山瑛太、伊藤万理華、西垣匠、田中真琴、夏子、石田剛太、じろう(シソンヌ)
脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
監督:山岸聖太、山口淳太
プロデューサー:岡光寛子(カンテレ)、白石裕菜(ホリプロ)
音楽:王舟
主題歌:Chilli Beans.「I like you」(A.S.A.B)
オープニング曲:PEOPLE 1「ドキドキする」(Sony Music Labels)
制作協力:ホリプロ
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:www.ktv.jp/tokikake/

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