『ブギウギ』柳葉敏郎がすっかり“ダメ親父”の有様に “三尺四方”に窮するスズ子と辛島たち
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』第41話では、ツヤ(水川あさみ)が天国へ旅立ってから1年後が描かれた。
ゴンベエ(宇野祥平)と光子(本上まなみ)にはな湯を譲り、東京でスズ子(趣里)と暮らし始めた梅吉(柳葉敏郎)。最初こそ、「今度こそ映画で一花咲かせたる」と息巻いていた梅吉だが、早々にペンを折って呑んだくれる日々を送っていた。酔っ払ってスズ子にも迷惑をかける姿に正直、がっかりした人もいるだろう。情けないところもあるけれど、どんな時も家族を気にかける良いお父ちゃんだったのに……。今やすっかり、朝ドラで久しく見ていなかった“ダメ親父”の系譜を引いている。
一方で、最愛の妻を失った上に、大事な息子が戦地に行ってしまった梅吉の苦しみはもちろん理解できる。お酒で気を紛らわせていなければ、どうにかなってしまいそうな気持ちも。なにより、梅吉自身が一番そんな自分を情けないと思っているのだ。「泣いても喚いても嫁はんは帰ってけぇへんど」と、妻に逃げられた伝蔵(坂田聡)に向けた言葉で自分にも言い聞かせる梅吉はあまりにも切なくて、見ていられなかった。
だが、もっといたたまれないのが、スズ子の無理して作った笑顔だ。スズ子も梅吉の気持ちが分かるだけに強くは責められないのだろう。そんな彼女をチズ(ふせえり)は気遣ってくれるが、梅吉のためにも感傷的なムードは出せない。どうにか平静を装って仕事に向かうが、時は昭和15年。ぜいたくを禁止する法律が施行され、梅丸楽劇団(UGD)は華美な演出が一切できなくなってしまう。