『ブギウギ』“梅吉”柳葉敏郎の今後が心配 “果たせなかった約束”を追い求める展開に?

『ブギウギ』柳葉敏郎演じる梅吉の今後が心配

 ヒロイン・スズ子(趣里)と梅吉(柳葉敏郎)の東京での2人暮らしが始まることになった朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)。

 妻・ツヤ(水川あさみ)とのあまりに早すぎる別れに、息子・六郎(黒崎煌代)は戦地に出征。そして家族との思い出が詰まったホームである「はな湯」をゴンベエ(宇野祥平)に託せたのは良かったものの、梅吉の真ん中を当然のように貫いていたさまざまな要素が一気に彼の手から離れていってしまう。梅吉を“彼たらしめていたもの”たちが、次々に失くなってしまったのだ。あんなにツヤちゃんにゾッコンだった梅吉だけに、妻亡き後、彼が抜け殻になってしまわないか心配でならない。後先考えずに思いのままを素直に表現したって、しくじったってそれを特に驚くでもなくそのまま受け止め、「ほんまアホやなぁ」と笑い飛ばしてくれる人がいることはどれだけ心強いことか。ツヤ不在の今、その“当たり前”ではない日常のありがたみが梅吉の身に沁みていることだろう。

 第9週の予告編によると「カッコ悪いお父ちゃんはもう卒業や」と梅吉が自身をやけに鼓舞していたが、無理をしないか心配になってしまう。ツヤが生きているうちに脚本家として一花咲かせたところを見せたかったという後悔があるのだろうか。きっとツヤ自身はそんなこと望んでいないのだろうけれど、亡くなってしまったもう会えない人との接点を感じ続け、寂しさを寄せ付けないようにするには“果たせなかった約束”を追い続けるほかないのかもしれない。

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 柳葉は『都の風』に続き、本作が朝ドラ出演2作目。柳葉と言えば『踊る大捜査線』(フジテレビ系)シリーズでの警察庁キャリア・室井慎次役や『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)の救命救急センターのエース・黒田脩二先生など、真面目で周囲にも自分にも厳しくストイックな上司役のイメージが強い。『警視庁アウトサイダー』(テレビ朝日系)でも藤原警部役として面倒見がよく情に厚い熱血上司ながら、部下を裏切ったことをずっと悔い続ける役どころを好演していた。

 いずれの役どころでも『ブギウギ』の梅吉のようなはじけんばかりの笑顔は見られず、ここまであけすけで人間臭く情けなさも可笑しみもある愛嬌たっぷりなキャラクターを柳葉が演じるのはかなりレアなことなのではないだろうか。頼りになって思わずついていきたくなるような背中で語る上司とは対極のところにいる梅吉。ピュアで不器用でいまいち頼りにはならないけれど憎めなくて放っておけない。“お互い様”の精神でのらりくらりと生きている無邪気でとびっきり優しい梅吉が、東京でも大きな口を開けて“ガハハ”と豪快に笑っていられますように。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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