『セクシー田中さん』毎熊克哉の“ずっと待っていてくれる”安心感 笙野がどんどん魅力的に
とてつもなく大きくて高くて絶対に越えられないと思っていた壁は、意外にもすんなり飛び越えられてしまった。自分にはちっとも優しくないと思っていたこの世界も人も、実は自分がちゃんと人と向き合ってこなかっただけで、自ら遠ざけていただけで案外友好的だったーーなんてことはままある。
ついに経理部の堅物・田中さん(木南晴夏)のもう1つの顔が会社の同僚たちにもバレてしまった『セクシー田中さん』(日本テレビ系)第6話。
アラ還有名ベリーダンサー・愛子先生(未唯mie)に突然“一緒に踊ろう”とノーメイク&いつもの地味な私服の状態でステージ上に引っ張り出されたSaliこと田中さんの動画がプチバズってしまい、会社でも瞬く間にその噂が駆け巡る。
向けられる好奇の目も囁き声も全て雑音だと思い下を向いてシャットアウトしようにも体は正直で、出勤途中の電車内でお腹を下してしまい出社できなくなってしまう田中さん。そんな彼女に笙野(毎熊克哉)は「玄関の前におすすめのコメディ映画を置いておきました」とLINEを送り、無理矢理会おうとはしないさりげない優しさが光る配慮を見せる。いつの間にそんなことができるようになったんだ……恐るべし笙野。
田中さんが極力傷つかないようにと先回りして危険物を取り除こうとする過保護な朱里(生見愛瑠)に対して、笙野は「君はいつも彼女を過保護に守ろうとするけど、俺はいつも彼女のタフさに圧倒されてるよ」「この先もコソコソと息を潜めて生きていく人じゃないと思う(中略)田中さんなら自分で解決できるよ」と、田中さん自身が持つ自己自然治癒力に絶大なる信頼を寄せているようだ。
あんなに何事もステレオタイプにガチガチに当てはめて考えるタイプだった笙野が、いつの間にこんなにフラットな視線を獲得したのだろうか。笙野の田中さんへの揺るぎない自信を見るにつけ、思わず朱里は田中さんのことを“守るべき対象”と思い込みすぎているのではないか、ある意味その枠組みに彼女を押し込めてしまっているのは他でもない自分なのではないか? と自身のことを疑問視してしまうほどだ。
そんな笙野は「どこ行っても何してもネタにされて浮いてしまう」「私の存在が人を不快にしている」とこぼす田中さんに言い放つ。
「もし会社でネタにされてるなら田中さんの怠慢だと思います。ズバリ宣伝不足です。田中さんをちゃんと知れば皆田中さんを好きになりますよ! 今もし好かれてないと思うなら、それは田中さんが自分を見せてないからですよ!」
そして、田中さんのことを「隠れた名作映画」に喩え「マニアの間だけで埋もれるには勿体ない、逸品なんですよ」と訴える。これは何よりの愛情表現だろう。周囲と距離を感じているのなら、それは田中さんのことをよく知ってもらう機会がなかっただけで、今からでもいかようにも変えられる部分だと伝えたかったのだろう。この逸品が広く人に知れ渡ってないことについて自分は悔しいとまで言ってくれる笙野の熱弁に、思わず田中さんの表情にも笑顔が戻る。