『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の共演はなぜ実現した? シリーズの経緯を解説

『スパイダーマン』シリーズの経緯を解説

 アンドリュー・ガーフィールドがピーター/スパイダーマン役に起用された時、あまりいじめられっ子(そもそもピーターは高校時代いじめられていたという設定)感がなく、青春スターっぽいとも言われていました。僕はこのことをプロデューサーのアヴィ・アラッドに聞く機会があったのですが、彼は「スパイダーマンというのは悩める若者の話です。イケメンの青年だから悩みがない、ということはないです」と答えてくれました。

 アンドリュー版もすごく人気があったのですが、2作で打ち切られ、MCU版=トム・ホランドにスイッチ。この交代について、MCUの仕掛人であるケヴィン・ファイギは「MCUではスパイダーマンを一番若いヒーローとして、先輩ヒーローたちに絡ませるという話にしたかったのです。だからより若いキャストを起用しました」と説明してくれました。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

 このトビー版、アンドリュー版、トム版のスパイダーマン映画はそれぞれの世界観で語られる別物でしたが、後にMCUがマルチバース設定を採用することになり、これらの世界観もマルチバースの関係ということで共存・共生が出来るようになりました。今回の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』はまさにその設定を使った、3人のスパイダーマンが集うワクワクするようなイベント映画です。

 同じスパイダーマンでありながら、それぞれの事情がちょっとずつ違うので、そのギャップをネタにした絡みもでてきます。トビー版、アンドリュー版は、基本スパイダーマン以外にヒーローはいないという世界です。だからヒーローチームという経験がない。これが3人での共闘の際の伏線になっています。

 またスパイダーマンが発射するウェブ(蜘蛛糸)の設定も異なっていて、トビー版は体の中で蜘蛛糸が生成され手首から発射(生体ウェブ)。アンドリュー版とトム版は人工蜘蛛糸を仕込んだウェブシューター/蜘蛛糸発射装置を使って放出します。人工と書きましたが、アンドリュー版は遺伝子操作された蜘蛛の蜘蛛糸をベースにしています。これも本作のなかで触れられています。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

 登場するヴィランは、『スパイダーマン』からグリーン・ゴブリン、『スパイダーマン2』からドクター・オクトパス、『スパイダーマン3』からサンドマン、『アメイジング・スパイダーマン』からリザード、『アメイジング・スパイダーマン2』からエレクトロがチョイスされました。

 なお、この映画で忘れてはならないのがドクター・ストレンジ。ベネディクト・カンバーバッチが演じていますが、彼は12月に開催される東京コミコン2023への参加が決定しています。改めて本作でファンになった方は、東京コミコンのほうもチェックしてください。

 とにかく今までのスパイダーマン映画の集大成的作品であり、ワクワクさせてくれますが、最後はとてもエモーショナル。余韻を残してくれます。

 なお、アンドリュー版ピーター/スパイダーマンは、劇中で“ピーター3”と呼ばれますが、本作ではアンドリュー版ピーターがファンにとって胸アツの活躍をします。アンドリュー版のファンにとって、今回の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は作られることのなかった『アメイジング・スパイダーマン3』だからかもしれません。

■放送情報
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
日本テレビ系にて、11月10日(金)21:00~23:24放送
※地上波初放送 ※放送枠30分拡大
監督:ジョン・ワッツ
脚本:クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
製作:ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカル
出演:トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイ、アルフレッド・モリナ
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