竹内涼真、死刑囚役演じた『落日』での挑戦 「自分の中にある何かとリンクしていた」

竹内涼真が語る『落日』への覚悟と未来

 北川景子が主演を務め、吉岡里帆が共演する「連続ドラマW湊かなえ『落日』」。原作は湊かなえが2019年に作家生活10周年の節目の作品として書き下ろしたミステリー長編『落日』(ハルキ文庫)だ。本作は現在WOWOWオンデマンドで全話配信中で、その中でも死刑囚の立石力輝斗を熱演している竹内涼真に注目が集まっている。初の死刑囚という難しい役どころに対して「挑戦したかった役柄」と語る竹内。そんな竹内に力輝斗を演じるにあたっての役作りについて、兄妹の立石沙良を演じる久保史緒里との共演について、WOWOW作品への印象などについて語ってもらった。

「引き寄せ合うものがあるというのが大切」

ーー本作に出演が決まったときはどのような心境でしたか?

竹内涼真(以下、竹内):難しい役どころではありますが、こういう生い立ちや薄暗い陰のある役を自分に任せていただけたことが嬉しかったです。キャスティングをしてくださった皆さんに感謝しています。今までやったことがなく挑戦してみたかった役柄だったので、今年30歳になったタイミングでこういった役がめぐってきたんだな、とも感じました。

ーー力輝斗は難しい役ですが、役作りの面で工夫したことはありますか?

竹内:今回、この台本から“彼が幼い頃から一番欲しかったもの、求めていたもの”が何かを抽出して、そこに向かって演じることを意識しました。

ーー力輝斗が“一番欲していたもの”は何だったと思いますか?

竹内:僕は「承認欲求」だと思うんです。力輝斗は自分の気持ちを分かってほしいというよりは、自分の存在を認められたいのかなと思いました。

ーー沙良と力輝斗の関係をどのように捉えていましたか?

竹内:力輝斗ができないことをすべてできてしまうのが沙良です。その妹に最後まで軽蔑され、力輝斗自身も自分を卑下してしまう中で、沙良に対しては羨ましさもある。だから、力輝斗は沙良に最後まで何もできずにいたのだと思います。

ーー沙良との共演シーンでは、力輝斗のどんな感情を表現しようと考えていたのでしょうか。

竹内:台本を読んで撮影の前からあまり決めずに、沙良役の久保史緒里さんが現場で表現される器用さや、怖さの感情を大切にしようと思いました。発信するのが久保さんの方なので、僕はそれを受けたときに自分の中に湧き起こるものを頭で捉えて、体とリンクさせることに集中し、監督からそのような部分を出してほしいと言われたときにはすぐリアクションできるように、力を抜いて演じていました。

ーーあれだけ苦しい役を現場で受け止めるとなると、撮影期間中にしんどくなりませんでしたか?

竹内:全部が全部ではないけれど、きつい日もありましたね。力輝斗は認めてもらいたいのに、そうするための対話力がないせいでそこを諦めてしまっている。だから苦しいんです。

ーー竹内さんがこれまでに演じてきた役の印象とはずいぶん違うように感じます。

竹内:この役は自分の中にある何かとリンクしていたからこそ、できたのだと思います。僕は力輝斗をこんなふうに演じたいという思いがありましたし、これからも様々な役に挑戦していきたいですね。

ーー確かに、固定観念にとらわれずに挑戦することは大事ですよね。

竹内:だからこそ引き寄せ合うものがあるというのが大切だと思っています。役者をする上で、自分が役を掴み取りに行くことや絶対に演じてみたいという意志も大事ではありますが、今回の役はぜひ挑戦してみたいと思いましたし、“こういうふうに演じてみたい”という意識がありました。

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