『トクメイ!』“伏兵”佐藤二朗が橋本環奈に代わって事件解決 徳重聡が画面の情報量を独占

『トクメイ!』“伏兵”佐藤二朗が事件を解決

 『トクメイ!警視庁特別会計係』(カンテレ・フジテレビ系)第4話の感想を一言で表すと「え、橋本環奈が脅迫者Xじゃなかったの!?」である。

 一円(橋本環奈)が万町署内に監視カメラを仕掛け、盗聴を行っていることが湯川(沢村一樹)にバレてしまった。円の目的は署内にひそむ脅迫者Xを探し出すことで、経費削減と並ぶもう一つの特命だったわけだが、あっけなくとん挫した。てっきり円自身が脅迫者Xだと思っていたので、ちょっと拍子抜けの感もあるが、脅迫者Xが誰かを考察する楽しみが増えたと受け取っておこう。

 うっかり円が出てしまった強行犯係への電話は、強盗事件発生の連絡。名付けて「一丁目もつ鍋店募金強盗事件」、被害総額3万円、なんとも小ぶりな事件だが、証拠は少なかった。被害者の足跡に付着した植物片の同定調査のため、西万町大の宇佐美教授(岩谷健司)を訪ねる。

 第4話では伏兵の活躍が目立った。1人目は若手刑事の月村(前田拳太郎)。円が自分たちをだましていたと知って憤ったり、転んだ円を気づかったりと随所で存在感を発揮した。2人目は中堅独身アイドル好き刑事の中西(徳重聡)で、運の悪すぎる円に運気が上がる「満面破顔茶」を勧める。設定が渋滞している中西は、前話くらいから凶行犯係で他のメンバーを押しのけて主張を強めているが、第4話では、またもや中西のキャラが全開となった。

 せっかくのデートの機会を円にフイにされた時の、サングラスをかけた鬼の形相(想像)に始まり、詐欺のマルチ商法とわかって、いわくありげなお茶を勧める時点で、この人の中で何かが壊れていると確信した。ただでさえ顔面が濃いのに、表情が忙しいので、画面の徳重の部分だけ異様に情報量が多くなっているのがすごい。スベリ気味なその他大勢の中で、なぜ徳重だけこんなにキャラがはまっているかを考えると、ある軍団の存在に行き着く。

 21世紀の石原裕次郎を期待されてデビューした徳重は、石原プロモーションの出身である。石原プロといえば、『西部警察』シリーズ(テレビ朝日系)や『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)など往年の刑事ドラマの名作で知られる。哀愁を漂わせた二枚目スターたちが活躍する作風は、よく言えばハードボイルド、悪く言えばキザで、事件の合間のコメディ風の場面すら、冗談めかしつつカメラを意識したポーズで決めている。徳重の全力ギャグシーンを観ていると石原プロの濃厚なDNAを感じるが、過去作を踏襲しながら新しい刑事ドラマを志向する本作の根底に、王道の刑事ドラマの美意識が脈々と流れていると感じた。

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