橋本環奈が刑事ドラマの定番にノーを突き付ける 『トクメイ!』のハイコンテクストな構造

『トクメイ!』のハイコンテクストな構造

 『トクメイ!警視庁特別会計係』(カンテレ・フジテレビ系)第2話のテーマは、刑事の勘VS経費削減だった。

 円(橋本環奈)の経費削減の取り組みにもかかわらず、湯川(沢村一樹)たち刑事課の残業時間は増える一方。事件件数は増えていないのに、だ。原因が長時間の連続勤務にあると見抜いた円は働き方改革を提案した。そんな折、ショッピングモールに爆弾を仕掛けたと犯人から連絡があり、強行犯係の面々は現場に急行する。

 刑事が休んでも、事件は休んでくれない。あるいは捜査は待ってくれない。犯罪は突然起こるから、刑事たちはプライベートを犠牲にして、あるいは徹夜明けで眠い目をこすりながら捜査に取りかかる。そうすることで市民の安全は守られている。

 だからと言って、野放図に経費を垂れ流していいわけではない。公務員である以上、税金の使い道は限られているのだが、そもそもコスパやタイパが通用する領域かという問題もある。何度も繰り返される「何のために働くか」という問いかけは、刑事たちにはいっそう重くのしかかる。経費を通して浮かび上がる捜査の実状は、そのまま刑事ドラマの定番シーンでもあった。情報提供者から情報を仕入れる、張り込み部屋を借りるなどの手法は、私たちがテレビの画面を通じて見慣れているものだ。そんな既視感のある情景にお金の視点から切り込むのが、本作がユニークなゆえんである。

 第1話が1円玉なら第2話は10円玉。電話ボックスに落ちていた10円玉が、刑事課の連続勤務とどんなふに関連していたかは本編で確かめていただくとして、第2話のポイントは「刑事の勘」に代表される古典的な手法が今なお有効であること、円の追及が結果的に湯川にとって、自身のやり方が間違っていないと認識するきっかけになったことだ。第1話でも同じような構図があったが、手垢のついた設定に新しい光を当てるのが本作であると示していた。そのことは、過去の刑事ドラマのパロディを盛り込んだタイトルロールからも明らかである。

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