『イ・ドゥナ!』“小悪魔”スジに翻弄されるヤン・セジョン 最終話で示唆された未来とは?

『イ・ドゥナ!』ぺ・スジの小悪魔的な魅力

 韓国ドラマ『イ・ドゥナ!』がNetflixで一挙配信中だ(全9話)。

 本作は、日本でも大きな話題となったドラマ『愛の不時着』のイ・ジョンヒョ監督が手がけた作品で、人気のウェブトゥーンを原作としている。

 タイトルロールのイ・ドゥナ役は、K-POPガールズグループ・miss Aの元メンバーで、『スタートアップ:夢の扉』などに出演したスジが担当。平凡な大学のイ・ウォンジュンを『30だけど17です』のヤン・セジョンが演じた。

 アイドルグループ「ドリームスイート」のメンバーとして人気絶頂だった中、ある日突然歌えなくなり引退したドゥナと、父親を亡くし母親と病弱な妹を支える苦学生のウォンジュンが出会い恋に落ちる。住む世界が違う2人が葛藤を抱えながらも惹かれ合っていく切ない恋模様が描かれる。(以下、最終話までのネタバレあり)

スジの小悪魔的な魅力から目が離せない!

 スジが演じるドゥナは、幼い頃に両親が離婚し、自分勝手な母親に捨てられ祖母に育てられた孤独な少女だった。祖母が亡くなったあと、得意の歌とダンスが認められ、パク・イヌク(イ・ジヌク)のマネジメントでトップアイドルになる。しかし、ライブ中に歌えなくなり倒れてしまったことから引退に追い込まれてしまう。

 大学に復学しシェアハウスで生活するようになったドゥナだったが、密かに恋心を抱いていたイヌクが手を差し伸べてくれず、自暴自棄な生活を送っていた。どんなに隠そうとしても華やかなオーラを隠し切れない元アイドル役は、スジにぴったりハマっている。スジといえば『あなたが眠っている間に』では、夢で見たことが現実に起こってしまうことに苦しむ元報道記者役、『スタートアップ:夢の扉』では、恵まれない家庭環境でありながら起業を目指して奮闘する女性を演じてきた。

 応援したくなるようなキャラクターを演じることが多かったスジが、今回は小悪魔的な魅力で同じシェアハウスに住むウォンジュンを翻弄していく。このドラマで、またひとつスジの魅力が発見できたような気がした。
 
 「ドゥナが嫌い!」という人も少なからずいるだろう。確かに情緒不安定かつ自分勝手な行動でウォンジュンの気持ちを弄ぶ姿には好感を持ちにくい。自分の魅力をしっかり分かっているドゥナは、ウォンジュンが自分を好きになると自信満々なのだ。

 平凡な大学生であるウォンジュンを好きになるはずがないと高をくくっていたドゥナだが、いつしかウォンジュンがかけがえのない存在になっていく。一方でイヌクの存在もドゥナの心からなかなか消えないため、ドゥナはさらに情緒不安定になっていくのだ。

 そんなドゥナを筆者は抱き締めてあげたい気持ちに駆られてしまった。ドゥナの恋のライバルでもあるウォンジュンの初恋の相手、キム・ジンジュ(ハヨン)が物語の後半でドゥナの肩を抱き寄せたように……。それだけスジの演技には、ドゥナの孤独感がさぞかし苦しいものだっただろうと思わせる説得力があった。

 さらに、ドゥナが所属するドリームスイートのライブシーンやソロで復帰したドゥナの歌と踊りのシーンが大きな見どころとなっている。特にドリームスイートのライブシーンは、日本で行われたイベントに出演したときの映像なので、熱気が直に伝わってくる。ぜひアイドルとして活躍していたスジが本領発揮する姿を目に焼き付けてほしい。

ヤン・セジョンの誠実なまなざしに沼落ち

 『イ・ドゥナ!』が、除隊後初の出演作として話題となったヤン・セジョン。今回演じる役は、アルバイトを掛け持ちしながら一生懸命勉強に励む苦学生だ。

 とにかくセジョンが演じるウォンジュンは真面目だ。授業にはしっかり出席し、図書館で勉強をし、空いた時間はアルバイトに奔走する。故郷に母親と病弱な妹を残してきた後ろめたさもあるのか、「普通の生活ができればそれでいい」という願望のために、日々努力している。

 そんな彼の目の前に突然現れたのが、同じシェアハウスに住むドゥナだった。アイドルに興味のないウォンジュンが「どこかで見たことがあるきれいな女性」と思うだけなら良かったものの、彼女の突飛な行動に付き合うごとに、魅力にハマっていってしまう。

 そんなウォンジュンにもう一つ予期せぬ出来事が起こる。それは高校3年生のときに告白をしてフラれてしまったジンジュとの再会だ。奇しくもアルバイト先まで同じになり複雑な思いを抱く。

 しかし、ジンジュは昔からウォンジュンのことが好きで、ウォンジュンの告白に応えられなかったのは、モラハラ気質の父親を持つ難しい家庭環境だったことが分かった。ジンジュは改めてウォンジュンのことが好きだと告白するも、ウォンジュンの心はすでにドゥナに向いてしまっていた。

 花火を見ながら、ジンジュから告白されるウォンジュンの切ない表情が本当に印象的だった。「ごめん」と言って、なんともいえないまなざしでジンジュを見つめるウォンジュン。どこまでも誠実なウォンジュンをセジョンは丁寧な演技でみせている。

 ドゥナと結ばれてからもドゥナとの穏やかな暮らしは長く続かなかったウォンジュン。イヌクから「ドゥナから離れるべきなのは君だろう」と言われ、苦しい選択をするウォンジュンが地下鉄の駅でドゥナと別れて号泣するシーンに胸が苦しくなる。

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