中村アン、福本莉子、桜井ユキ 『ONE DAY』複雑に絡み合う各編を支える重要人物たち

『ONE DAY』各編を支える重要人物

 中谷美紀が崖っぷちに追い込まれているキャスター・桔梗を演じている「地方テレビ局編」のキーパーソンは査子(福本莉子)だろう。査子は桔梗が所属する横浜テレビの新人記者。地方局である横浜テレビは、上層部が代わったことで転換期を迎えており、これからは報道以外のところに力を入れていくらしいと噂になっていた。査子は「うちの報道番組なんて誰が見ます?」と非常にドライな姿勢を見せ、仕事一筋な桔梗に対しては「キャリアウーマンなんて古いですよね」とやや批判的だ。自身がキャスターをやることにも「やれといわれればやりますけど」と前向きではない査子が実は、桔梗の後任なのだから皮肉である。だが、査子は銃撃事件に関係があるかもしれない拳銃が自分の父が営むレストランで見つかったことが分かると、桔梗の「スクープ取ってきて!」の言葉に「了解です!」とやる気満々。しかも店前に詰めかける報道陣を押しのけて、店内に入る時はわざわざビデオカメラを見せてドヤ顔して見せた。仕事に対する熱意はあったようで、あれよあれよという間に桔梗の右腕となっている。

 福本は、数多くいる本作の出演者の中では最年少だが、物怖じしない堂々とした演技を見せている。キュートで元気のある様子は、何かと悩みがちな大人たちの雰囲気の中でより一層輝いている。もうひとつの物語の舞台でもあるレストランと深い繋がりもあり、今後、3人の“交差点”としての役割となる可能性もある。

 ほか2人の物語とは一線を画すような展開となっているのが、大沢たかお演じる時生をメインとした「レストラン編」である。一度「これ!」と決めたら意見を変えない時生に遠慮なく物申して、なんとかクリスマスイブにレストラン「葵亭」の営業をしようとしている竹本(桜井ユキ)がここでは重要な人物となっている。竹本は、基本的に頑固なのにくよくよとしがちな時生と、ことの重大さを分かっているのかいないのか、のほほんとしている他スタッフのツッコミ役となっている。しかし、竹本も銃撃事件の取材にやってきた査子のインタビューに率先して答えたがるなど目立とうとするところがあり、それが「葵亭」のドタバタさを助長させてしまう場面も。一難去ってまた一難の「葵亭」は、今度は冷蔵庫の電源が入っておらず、食材をダメにしてしまい、時生と犬猿の仲のレストランのシェフ・松木(髙嶋政宏)の力を借りねばならなくなってしまう。それとは別件で、ここは銃撃事件の関係先でもあるわけで、今後、何が起こるかは予想がつかない。竹本は時生のサポート役として事態をうまく収拾することができるのだろうか。

 第3話では、約1時間分が描かれた本作。少しずつ進んでいくからなのか、それぞれの物語に濃密さが感じられた。これからさらに複雑に絡み合っていくであろう人間ドラマも楽しみにしていきたいものだ。

■放送情報
『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:二宮和也、中谷美紀、大沢たかお、江口洋介、佐藤浩市
【逃亡編】中川大志、松本若菜、中村アン
【地方テレビ局編】福本莉子、小手伸也、加藤諒、大水洋介、丸山智己、梶原善
【レストラン編】桜井ユキ、井之脇海、今井英二、栗原英雄
脚本:徳永友一
企画・プロデュース:成河広明
演出:鈴木雅之
主題歌:ミイナ・オカベ「Flashback feat. Daichi Yamamoto」
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/oneday_christmas_ado/
公式X(旧Twitter):@oneday_xmas_ado
公式Instagram:@oneday_xmas_ado

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる