松本潤・家康は月代を剃ってからの“方が”カッコいい 『どうする家康』月代の美学を解説

『どうする家康』月代の美学を解説

 元々、非の打ち所がないほどの美形だが、だからこそ総髪時代は甘さが目立っていた。

 だが、月代を剃ってからはどうだ。その剃り上げた額から、頭頂部から、抑えきれない色気が溢れ出している。

 この家康の初・月代回において、彼は降伏してきた武田軍家臣・岡部元信(田中美央)らの皆殺しを命じる。この岡部は、元・今川軍家臣。つまり、家康のかつての同僚のような存在である。総髪時代の家康なら、「どうすりゃええんじゃ~!」と頭を抱えるシーンだ。

 だが月代・家康は、表情ひとつ変えずにかつての仲間を見捨てる。その際の底知れない冷たさに震え上がったが、その後の家康はどんどん天下人となるべく成り上がって行き、第40話では250万石の大大名になってしまっていた。

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 「月代を剃った方がカッコいい」松潤・家康の話をさんざんしておいてなんだが、実はこのドラマにはあと2人、「月代剃ってよかったね」という人物が登場する。

 豊臣秀吉(ムロツヨシ)と大久保忠世(小手伸也)である。

 癖毛と薄毛に悩んでいたであろう2人。だが月代を剃り、毛髪問題から解放されると、途端に貫禄が出てしまった。

 月代が一般的になり出した頃、「嫌だよ……。カッコ悪い……」と思っていた若者は、やはりいたと思われる。だがこの2人に限っては、感謝していたのではないだろうか、最初に月代を剃った人に。

 弱き白兎だった家康は、月代を剃り、数多の死を乗り越え、最終形態の“狸”となった。これから関ヶ原、そして大阪の陣と、最後の戦いが待っている。

 楽しみかつ恐ろしいが、見届けなければならない。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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