『家政夫のミタゾノ』は家族で観るのにうってつけのドラマ 社会問題とのリンクも
かつては結婚した子供世帯と親世帯が同居する大家族が多く、学校から帰ったら家には祖父母がいるということもあっただろう。だが、核家族化が進んだ現代ではそのような家庭も少なくなった。一方で、若い世代の中で、「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺において、騙された高齢者から現金を受け取る「受け子」になるなど、高額な報酬を受け取る代わりに気軽に犯罪行為を行う「闇バイト」が社会問題となっている。
ではもし、「闇バイト」で騙したひとりのお婆さんが実は離れて暮らしていた自分のおばあちゃんだったら……? 10月24日放送の『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)第3話のありえなくもない設定に少しばかり寒気がしてしまった。
田舎町で1人で暮らす老婆・田浦加代子(前田美波里)の家に派遣された三田園(松岡昌宏)と光(伊野尾慧)。もうすぐ亡くなった息子の妻・西園寺渚(横山めぐみ)と孫の康太(福山翔大)が引っ越してくるというのだ。「オレオレ詐欺」に引っかかり、300万円も騙し取られてしまった加代子を心配した渚が、一緒に住むことを提案したという。しかし、康太は、幼い頃に会ったきりだった祖母の顔を見るなりひどくうろたえてしまう。なぜなら康太は加代子が被害に遭った「オレオレ詐欺」の“受け子”として加担していて、すでに会ったことがあるのだ。さらにミタゾノさんが、なぜか康太が詐欺の一味であることに気がついていることをほのめかしてきて、挙動不審になってしまう康太。でも渚は、引っ越してきて早々に、家にあった高価なものをフリマアプリで売りさばいてしまうし、加代子は誰も入れさせない「秘密の部屋」を持っていた。どうやら、この家族はそれぞれに隠しておきたいことがあるようで……?
本作の見どころのひとつは、「本家に怒られてしまうのではないか?」とこちらがハラハラするほど“ギリOK”なパロディ。康太はVTuber・オタのファンなのだが、このオタは「私は絶叫〜!」と歌う曲が大人気。これはおそらくAdoの「私は最強」を模したと思われ、さらに曲の一部にはハリー・スタイルズの「As It Was」をモロに感じさせるフレーズが使われている。パロディでもVTuberとして完成度が高く、曲もちょっとオシャレであることがまた笑いを誘ってきてしまう。ちなみにこのオタは康太と加代子を繋ぐ重要なキーパーソンとなっている。