『きのう何食べた?』山本耕史×磯村勇斗も再登場! シロさんの思いが詰まった微笑み

『きのう何食べた?』シロさんの微笑みの意味

 人気漫画家・よしながふみの同名コミックが原作のドラマ『きのう何食べた?』(テレビ東京系)。season2の第3話では、西島秀俊演じる筧史朗(以下、シロさん)と内野聖陽演じる矢吹賢二(以下、ケンジ)がハロウィンパーティーに招かれ、小日向(山本耕史)と航(磯村勇斗)の家へ向かう。第3話で心に残るのは、ケンジのある一言を聞いたシロさんのやわらかな表情と物語終盤に見せた厳しい面持ちだ。

 物語序盤は、凝ったコスプレをした小日向と航がシロさんとケンジを出迎えたり、小日向がポリス姿で丁寧に蒸し魚を作ったりと、コミカルな場面と仲の良い4人の描写に心がほっこりする。シロさんとケンジはパーティーの最中に小日向と航の劇的な馴れ初めを知った。

 パーティーが終わり、2人は帰路につく。ケンジは小日向と航の馴れ初めを振り返ると、ふとこんなことを口にする。

「でも、よかったよね。あの2人がちゃ〜んと出会えて」

 ケンジがこの言葉を発した時、ケンジがわざわざシロさんの方を見たり、言葉尻を変えたりしなかったことから、何気なく言った言葉だということが分かる。けれどシロさんにとっては、このような思いを何気なく言葉にできるケンジこそ愛おしいのかもしれない。

 ケンジの言葉を受けたシロさんは、ちゃんと出会えた小日向と航を振り返るように前を向いた後、ケンジの顔を見つめ直して微笑む。シロさんの視線に気づいたケンジに、シロさんは何かを言いかけるように口を開きつつも「そうだな」とだけ返した。2人の後ろ姿が映し出された時、シロさんがさりげなくケンジを見ていたことからも分かるが、シロさんは自分たちもまたちゃんと出会えた2人だという幸せを噛み締めていたのではないだろうか。

 シロさんはケンジのように、自分の思いを情熱的に言葉にすることはないし、シロさんとケンジの出会いは小日向と航のような劇的なものではない。それでもシロさんがケンジと同じくらい、もしくはそれ以上に、愛情深くケンジに接していることが伝わってくる場面だった。

 数日後、シロさんは両親の室内墓地見学に付き添う。その夜、ケンジは背徳感たっぷりの一人メシを満喫しつつも、「俺、シロさんのご両親とは、もう二度と食事することもないんだろうなあ」と呟いた。ケンジはseason1の最終話で悟朗(田山涼成)と久栄(梶芽衣子)と顔を合わせるも、劇場版で描かれたように「もう実家に来てほしくない」と言われている。物寂しさをかき消すように「大丈夫、大丈夫。俺は俺で、おいしく食べたじゃん」と自分に言い聞かせる姿は切ない。そんな折、シロさんが思いがけず早く帰ってきた。

「これ、うちの両親からケンジにって」
「これからも息子をよろしくって、母親が」

 ケンジに手渡されたのは初物の立派なイチゴだった。シロさんの言葉に驚くケンジに、シロさんは少しかたい表情になると「いつぞやの無礼のお詫びもあるんだろ」と言った。久栄なりの気遣いに、ケンジは思いを巡らす。そんなケンジの様子を見つめるシロさんは、緊張した佇まいでこう伝えた。

「別にそんなんで、うちの親のこと、許さなくていいぞ」

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