『家政夫のミタゾノ』の“クセ”になる崩壊と再生 新相棒・桜田ひよりも絶妙なアクセントに

『家政夫のミタゾノ』新しい価値観に驚き 

 だが、ここでも新しい価値観が登場する。貞一と倫子はオープンマリッジの関係だというのだ。これは、自分のパートナーが自分以外と付き合うことを、互いに理解し合い、受け入れる関係性のこと。少々雑になってしまうかもしれないが、簡単な言葉にすれば「多少の浮気は容認します」ということだ。実際、貞一は、倫子以外に3人の女性と付き合っているという。しかも倫子は純だけではなく、愛の会社の顧問弁護士・安藤快(石黒英雄)ともセカンドパートナー関係であることが判明する。

 驚きの連続だが、ミタゾノさんは表情をあまり変えず、言葉少なで、その反応はクールだ。その代わり、まるで視聴者の心の声を代弁するように目を見開いて、オーバーリアクションする実優がドラマ全体のいいアクセントになっている。さまざまな価値観が入り乱れているところで、実優のように驚いたり、あたふたしたりと、素直な反応をする人がひとりでもいることで、私たちは、あまり疎外感を感じることなく、物語を楽しむことができるのではないだろうか。

 ミタゾノさんのパートナーは、歴代のメンバーを見ても明るい性格であるが、実優はそれに加えて頭の回転が早くて勘も良く、場をわきまえる大人な印象がある。ただ、ミタゾノさんの言いたいことが先に分かってしまい、ミタゾノさんがビシッと決めるはずの見せ場を奪ってしまう場面も。それでもこの実優の行動によって、今にも実優に鉄槌を下しかねないミタゾノさんの鬼の形相を目撃し、思わず笑って和むことができたのでよしとしたい。

 ミタゾノさんは問題のある家庭を一度崩壊させ、再生させていく。だが、再生したからといっていつも大円団になるわけではない。愛と純、貞一と倫子、そして安藤は、これをいい機会として友達になるのだという。お茶を楽しむ愛が、最後に手を握った相手は……。この「いけないものを見てしまった感」がクセになってしまうのが本作の怖いところである。

■放送情報
『家政夫のミタゾノ』
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00〜21:54放送
出演:松岡昌宏、伊野尾慧(Hey! Say! JUMP)、桜田ひより、しゅはまはるみ、平田敦子、余貴美子
脚本:八津弘幸ほか
演出:片山修、小松隆志ほか
音楽:ワンミュージック
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:秋山貴人(テレビ朝日)、石田菜穂子(テレビ朝日)、木曽貴美子(MMJ)、村山太郎(MMJ)
制作:テレビ朝日、MMJ
©︎テレビ朝日

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