『ミニオンズ』『スーパーマリオ』が大成功 イルミネーションがディズニー1強に終止符?
イルミネーション自体は北米では12月22日、日本では2024年3月15日公開の『FLY!/フライ!』が最新作として控えていて、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』後のイルミネーションがオリジナル作品でどこまで評判を獲得するかといった意味で注目を集めている。イルミネーションの作品は、過去に『怪盗グルーのミニオン危機一発』しかアカデミー賞の長編アニメ映画賞にノミネートされたことがない。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』と『FLY!/フライ!』の扱いがどうなるかも、とりわけ賞レースではディズニー/ピクサーが圧倒的に強い状況をひっくり返す上で重要だ。
もちろん、ピクサー以外からも優れた長編アニメ映画はどんどんと出てきている。第95回アカデミー賞で長編アニメ映画賞を受賞した『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』はNetflixアニメーションの制作。2018年の受賞作『スパイダーマン:スパイダーバース』はコロンビア・ピクチャーズ、ソニー・ピクチャーズ、アニメーションなどが制作した。2023年6月には続編『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が公開されており、賞レースにも絡んできそうだ。
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』のライカも、ストップモーション・アニメーションの手法ながら幾度となくアカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされている。世界に目を向ければ、アイルランドのカートゥーン・サルーンも2020年の『ウルフウォーカー』まで4度もノミネートされて存在感を高めている。10月23日から開幕する第36回東京国際映画祭では、世界で長編アニメ映画が数多く作られるようになったという背景から、アニメーション部門で海外の話題作がいくつか公開される予定だ。こうした作品が評判を呼んで、ディズニー/ピクサーの牙城を揺るがす可能性もある。
そうした中で、日本のアニメ映画はどれだけ戦えるのだろうか。『千と千尋の神隠し』でアカデミー賞を獲得した宮﨑駿監督の10年ぶりの長編アニメ『君たちはどう生きるか』が海外で上映され、徐々に評判が聞こえ始めている。湯浅政明監督はアヌシー国際アニメーション映画祭で『夜明け告げるルーのうた』が最高賞のクリスタル賞を受賞し、アカデミー賞の前哨戦とされるアニー賞にも何度かノミネートを果たしており、今後も新作を出す度に注目を集めるだろう。
ただ、興行成績となると日本勢は海外ではなかなか厳しい。そうした中、中国から続々と新しい作品が生まれており、中国国内での好成績をバックに世界に打って出る可能性も考えられる。イルミネーションがディズニー&ピクサーと双璧になるか、それとも群雄割拠の時代を迎えるか。長編アニメ映画は今後、作品的にも興行的にも賞レース的にも面白いことになりそうだ。
■放送情報
『ミニオンズ』
日本テレビ系にて、10月13日(金)21:00~22:54放送
※本編ノーカット
監督:ピエール・コフィン、カイル・バルダ
製作:クリス・メレダンドリ、ジャネット・ヒーリー
製作総指揮:クリス・ルノー
脚本:ブライアン・リンチ
音楽:ヘイター・ペレイラ
声の出演(字幕版):サンドラ・ブロック、ジョン・ハム、ピエール・コフィン
声の出演(吹替版):天海祐希、宮野真守、多田野曜平、青山穣、佐藤せつじ
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