『THE MYSTERY DAY』は“あるある”が楽しい考察ドラマに 小栗旬の言葉に込められた意味
未来の総理大臣の呼び声高い新進気鋭の政治家・夏目恭輔(小栗旬)が拉致監禁される。犯人が提示したタイムリミットは2週間。日本テレビ開局70年特別番組『THE MYSTERY DAY』は、『あなたの番です』(日本テレビ系/以下『あな番』)、『真犯人フラグ』(日本テレビ系)の制作陣が手掛ける視聴者参加型の考察ドラマだ。豪華キャストが大集結した相関図は圧巻だが、「全員、容疑者」というキャッチフレーズ通り皆が怪しく見えてくる。視聴者による黒幕予想の途中結果が度々挟まれるが、最終結果としてはなかなかにいい線いっていたと言えるのではないだろうか。
宮世琉弥ら若手からユースケらベテランまで 『THE MYSTERY DAY』は“演技合戦”に期待
日本テレビ開局70年特別番組『THE MYSTERY DAY』が10月7日に放送される。 本作は、視聴者参加型のミステリード…
冒頭は『嗚呼!!みんなの動物園』(日本テレビ系)に出演する芸人・池崎慧(サンシャイン池崎)が何者かに襲われるところから始まり、番組を超えてこれから起こる“有名人連続誘拐事件”の前振りがなされた。
夏目、そして彼が拉致される前に最後に会っていたとされる報道キャスター・橘美沙(中条あやみ)、同日に夏目とたまたま一緒になったレストランで彼に絡むところを目撃されているワイドショー司会者・武藤三朗(原田泰造)と彼の飲み友達の芸人・池崎が次々に誘拐されてしまう。『あな番』では死人が続出するが、本作で唯一の死人となってしまう橘の遺体が発見された後、今度は彼女と同じ所属事務所のタレント・野田桃花(佐藤栞里)もさらわれてしまう。
しかし、実はこれらの誘拐事件は全て別々に起こっていたもので、武藤と池崎2人の誘拐は彼らの行きつけのバー店員らが夏目誘拐事件に便乗して企てたものだった。このあたりは、『真犯人フラグ』の一家失踪事件が実はたまたまではあるものの家族それぞれが別々に行方不明になっていた、という種明かしを思い起こさせる。
橘を殺めた夏目事務所のボランティアスタッフの坂居環(片岡礼子)のようなキャラクターにも既視感がある。夏目を一方的に慕う気持ちが暴走し、“彼を助けることができるのは自分しかいない”という思い込みからストーカー化してしまう、猪突猛進というより“猪突盲信”系女性というのは、『あな番』『真犯人フラグ』ともに登場していた。
本作ではさらに、連続通り魔殺人「カサブランカX」事件も同時に起こっており、実はこの通り魔事件と夏目誘拐事件は同一犯によるものだった。意図せず犯人と接点を持ってしまった夏目が、自身の誘拐事件へのネットのあらぬ憶測を目の当たりにし、犯人を今回の事件に駆り立ててしまった背景や、理不尽で無責任なネットの噂に想いを馳せていく共鳴ぶりも見応えがあった。