田中宏明×三浦理香子×上杉祥三が考える“無償の愛” 『ニ十歳に還りたい。』インタビュー
『二十歳に還りたい。』は人生の要所要所で何かのヒントになる
――上杉さんはもし20歳に戻ることができたら何をされますか?
上杉:亡くなった元プロ野球選手の野村克也さんが現役引退前に「今の頭で20歳なら簡単にずっと三冠王を取れる」と話していましたが、その通りだと思うんです。この経験値と20歳の時の肉体があれば、恐らく腹が据わっていてドキドキもしないし、怖いものを知りつつ、その抑え込み方も分かっているはずなので。だからこそ寺沢は「この若さで何という読む力があるんだ」と言われる。そして、もうひとりの役者の子が「君もう帰っていいわ」と言い放たれてしまう展開に繋がる(笑)。20歳に戻るのに「無償の愛」が条件だった場合、それを80歳の心で貫くことができるのか。これは老若男女、そして国籍も関係なく通用するテーマ。特に最後、主人公が下す究極の選択は考えさせられますね。演じた当人はどう思っているんだろう?
田中:最初は「どういうこと?」という印象でした。ただ、これが一番のポイントだとは理解できていたんです。でも奥が深くて簡単には結論付けられなくて……。結局のところ、答えは出せませんでした。でも考えることが重要なのだと思います。愛や大事なものって最初は考えていても、大事には思っていても、日常の生活や仕事で薄れやすい。
――だからこそ模索し続けなければいけない、と。
田中:常に考えることによってプライオリティが保たれるというか、「どうしたら愛に生きられるか」と模索するのに意味があると今は感じます。あとギブアンドテイクを超えるには「そうしたい」と強く意識しないと行動できません。それを演じながら感じました。神様からの「無償の愛に生きなさい」という命題を、第二の人生でロミオ張りに苦悶しながら、右往左往しながら演じました。それが観客の皆さんにも伝われば。自分としても寺沢の選択は間違ってなかったと思いたいです。ただ同じ行動を取ったとしても、心が違ったら違う結果になる可能性もありますし。そこは色々な考え方があると思うので、それぞれの捉え方をしてもらいたいですね。映画館を出た後も余韻の中で「どういうことだったんだろう?」と考えてもらえたら人生の要所要所で何かのヒントになるのではないかと思います。
――三浦さんとしては?
三浦:私も最後のシーンは印象に残っています。大事な場面だったので、一番緊張感のある撮影でした。いっぱいリハーサルして、田中さんと私だけでなく監督や他のスタッフさんがも一丸となって、昼から夜まで「撮るぞ!」という集中力がありました。
田中:役として人生を賭けた場面でしたから、前日から「大事にしようね」と声を掛け合った思い出があります。
三浦:田中さんが話しかけてくれて、合間合間にコミュニケーションを取りながら。
田中:僕は恋愛描写が苦手で、監督からも「何かあるだろう」「想像しろ」と言われてました。でも例の命題が頭に張り付きすぎて……(笑)。ただ目の前の三浦さんとのやり取りを楽しんだり、キラキラしたものを見せたいと思って演じました。
――改めて、本作にはさまざまな愛が詰まっているんだなと感じました。
上杉:一番恥ずかしい言葉って「愛してる」だと思うんです。「好き」とは言えてもそれが難しい。ぜひ本作の「無償の愛」を見届けていただけたらと思います。
三浦:観る人によって感じ方が分かれる作品だと思います。生きる上で大切なことが詰まっているので、大切な方と劇場に足を運んでいただけたら。
田中:「無償の愛」という主題のもとに展開される、人生を深く考えるきっかけになるようなストーリーです。ぜひ劇場で観ていただけたら嬉しいです。
■公開情報
『二十歳に還りたい。』
全国公開中
製作総指揮・原作:大川隆法
出演:田中宏明、三浦理香子、永嶋柊吾、伊良子未來、上杉祥三、津嘉山正種
監督:赤羽博
製作:幸福の科学出版
製作協力:ARI Production、ニュースター・プロダクション
制作プロダクション:ジャンゴフィルム
配給:日活
配給協力:東京テアトル
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