『ONE DAY』中谷美紀が語る月9初主演への思い 初共演の二宮和也を「現場で観察したい」

中谷美紀が語る月9初主演への思い

「キャスターは演技派でなくてはならない」

――演じる倉内桔梗は“キャスター”という役どころです。

中谷:桔梗はもともと記者で表に出ることを目的としていたわけではないのですが、ジャーナリズムに基づき自分自身で企画を立ち上げて、キャスターとして地元密着型の報道番組を続けてきました。にもかかわらず、「報道番組はいらない。料理番組に異動せよ」とお告げをいただいてしまう。仕事のみならず、“年齢によって女性が居場所を失っていく”というのは、多くの方に共感していただけるテーマだと思いますし、また“上層部からの命令によって、本来のポジションを失ってしまう”という点では、男女問わず興味深いテーマだと思いました。

――監督やプロデューサーから、リクエストされたことはありますか?

中谷:今回は「活動的な役柄にしたい」とのことでした。バタバタ常に動き回っているというか、おそらくじっとしていられないんでしょうね。発砲殺人事件が起こったという一報に対して、本来はカメラマンとみんなで一緒に現場に向かうところを、ひとりだけ先に自転車でクリスマスの渋滞をかいくぐって、現場に駆けつけるようなタイプです。

――そういう女性は、中谷さんにはどう映りますか?

中谷:やはり自分自身が生み出した番組であり、自らの子どものように大事に育ててきた番組なので、スクープを取ることもそうですが、“横浜の視聴者の方々に伝える”ということを何よりも大切にしているキャラクターだと思います。ご覧になる方によっては「そんなに熱くなっちゃって」と鬱陶しく思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ドラマの主人公のひとりとしては、とても応援しやすいキャラクターなのではないかなと思っています……って、今はまだ撮影が始まっていないので、なんとも言えないんですけどね(笑)。

――そうですよね(笑)。

中谷:でも、スカッとしていただけるのではないかなと思います。私たち日本人は、周囲の顔色を伺うことに慣れていると思うんですね。「本音は言えない」という方々が多い中、せめてドラマの主人公くらいは本音を述べてくれたら、みなさまのカタルシスになるのではないかなと。ドラマですから“嘘”ではあるけれど、たとえ嘘でも、少しすっきりしていただけると思います。

――キャスター役を演じるにあたり、どんな役作りをされていますか?

中谷:フジテレビの西山喜久恵さん、佐々木恭子さん、梅津弥英子さんという大変贅沢な講師陣の方々からご講義を賜りました。西山さんからは、悲しいニュースを伝えた直後に明るいニュースを伝えなければいけないこともあるので、「キャスターは演技派でなくてはならない」と教わりました。佐々木さんは平田オリザさんの講習を受けたことがあるそうで、そのご講義で「アナウンサーは、すべての文字を語尾に至るまではっきりと発するとても奇妙な生き物だ」と言われたと伺いました。また梅津さんからは、キャスターには2パターンあって、“感情的に伝えるタイプ”と“淡々と事実だけを述べるタイプ”がいるけれど、あなたはどちらを取りますか、と。今はまだ現場に立っていないので、監督と相談しながら何パターンか演じて、選んでいただこうかなと思っています。

――3カ月間かけて1日を演じる面白さや、難しさについてはどう感じていますか?

中谷:体調によって顔色が変わったり、お肌のコンディションが揺らいだりすることもありますし、あとは髪の毛ですよね。ドアを開けた瞬間に長くなったり短くなったりしないように、ちょっと気をつけたいなと思います。夏に痩せてしまうと、冬になるに連れて食べて太ったりもすると思うので、体重の調整もしなくてはならないですし、貴重な衣装をお醤油で汚さないようにしたいと思っています。これは本当に切実な問題でして、ブラウスは4枚用意していただきました。まだまったくわからないですが、犯人を追って転倒するシーンがあるかもしれないですし、血まみれになるシーンがあるかもしれない。何が起こってもいいように、ある程度ゆとりを持たせていただいていますが、それでもお醤油をこぼさないようにしたいです。

――内面的なところはいかがですか?

中谷:キャスターなので、報道スタジオでの撮影が1日に何十シーンも入っていたりするんです。飽きっぽい性格なので、常に新鮮な気持ちで演じられるよう「初心を忘れずに」ということは大切にしたいなと思っています。

――月9初主演ですが、月9にはどんなイメージをお持ちですか?

中谷:近年の月9は恋愛ドラマだけではなくなったと伺っていますが、今回はまた異色のドラマですので、ふだん月9をご覧になっているお客様がどのような反応をなさるのかとても楽しみです。ちょっと(出演者の)平均年齢も高いので、お若い方々はどう思われるのかと気になりますが、物語が面白いので年齢問わず楽しんでいただける作品だと思っています。生まれて初めてお芝居のお仕事をさせていただいたのが月9で、ガチガチに緊張して震えたのを覚えていますし、そのあとに出演させていただいた『Days』以来なので、本当に20何年ぶりの月9ドラマです。ですから二宮さんと大沢さんにおんぶに抱っこで、プレッシャーはすべてお二方に押しつけようかなと思っています(笑)。

――デビュー当時と今で、お仕事との向き合い方にどんな変化がありますか?

中谷:当時はアルバイト感覚でした。今は、出稼ぎ労働者です(笑)。

――(笑)。役との向き合い方についてはいかがでしょうか。

中谷:当時はセリフを述べるのに精いっぱいでした。人前でセリフを述べるというのが本当に恥ずかしくて仕方がなかったですし、右も左もわからず、ガチガチに緊張したことを覚えています。今でも緊張しますし、二宮さんのように力まず自然体で演じられたらいいなと思い、最近はむしろ気負わず、失敗してもいいやという気持ちで臨むようになりました。

――嫌で嫌で仕方ないところから始まって、なぜ今まで俳優を続けて来られたのでしょうか。

中谷:なぜでしょうか……自分でもわかりません。でも、いただいたお仕事は全うしたいと思いますよね。それで一生懸命励んでいると、ありがたいことにまた次のお仕事が舞い込んで来て、ということの繰り返しです。素晴らしいご縁によって、やり甲斐のあるお仕事をいただいて、たくさんの方々に支えていただいて。私は立っているだけで大して何もしていないので、本当にみなさまのおかげだと思っています。

■放送情報
『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』
フジテレビ系にて、10月9日(月)スタート 毎週月曜21:00~21:54放送
※初回30分拡大(21:00〜22:24放送)
出演:二宮和也、中谷美紀、大沢たかお、江口洋介、佐藤浩市
【逃亡編】中川大志、松本若菜、中村アン
【地方テレビ局編】福本莉子、小手伸也、加藤諒、大水洋介、丸山智己、梶原善
【レストラン編】桜井ユキ、井之脇海、今井英二、栗原英雄
脚本:徳永友一
企画・プロデュース:成河広明
演出:鈴木雅之
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/oneday_christmas_ado/
公式X(旧Twitter):@oneday_xmas_ado
公式Instagram:@oneday_xmas_ado

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