田中宏明、三浦理香子らが完成に感無量 『二十歳に還りたい。』公開初日舞台挨拶レポ
映画『二十歳に還りたい。』の公開初日舞台挨拶が9月29日、東京・シネマート新宿にて行われ、田中宏明、三浦理香子、上杉祥三、赤羽博監督が登壇した。
高齢者施設で孤独な日々を送る80歳の寺沢一徳が、突然20歳の青年に戻り、「今度こそ悔いのない一生を送ろう」と第2の人生を歩み始める物語。主人公・一徳の青年期を田中、ヒロイン・山根明香を三浦、明香の父を上杉が演じている。
観客から大きな拍手で迎えられた田中は、「初日を盛り上げていただきありがとうございます」と噛みしめるように挨拶。初めて舞台挨拶に登壇するという三浦も「満席の状態で、みなさんが観てくださったことがすごく嬉しいです」と感慨深げに笑みを浮かべた。
80歳の一徳が20歳に戻った“青年の姿”という役どころに臨んだ田中は、「本当に自分の経験してないところばかりだったので、とても難しかったです」と本音を吐露。「津嘉山正種さんが、映画に重みであるとか、味わいであるとか、心に響くものを残してくださった。本当に自分に足りないところを補っていただいたと思っています」と感謝した。
一方、ヒロインを演じた三浦は「いろんなキャストさんとお芝居をすることが多かった」とし、「津嘉山さんの現場の居方だったり、田中さんのお芝居との向き合い方だったり、上杉さんの熱量だったり。一緒に演じる人によって得られるものが違って、すごく幸せな経験をたくさんさせていただきました」と撮影を振り返った。
ふだん演劇界で活躍する上杉が演じるのは、劇団の主宰者である演出家役。顔合わせの際に赤羽監督から「おとなしいタイプと激しいタイプ、どちらにするか?」と聞かれたといい、「僕がどっちを取るか、わかっていらっしゃったと思う」と苦笑い。当然、「激しい演出家」を選んだそうで、「僕は44年前に上京して、初めての研究所が(本作の)ロケ現場だったんですよ。僕が44年前に先生たちに叱られてたことをそのまま言っているので、何かが降りてきたんじゃないかなと(笑)。この映画に導かれたなと思いました」としみじみ語った。
赤羽監督は「僕の現場は全員が演出家なんです」といい、「持ち道具の女の子も、カメラマンも、ここにいる役者さんも、個人個人が自分の役を考えていろいろとトライしている。僕はその現場の演出家たちをまとめて、それを表現する。だから、監督というよりコーディネーター」と自己紹介。
そんな赤羽監督の演出について、田中は「今おっしゃっていたように、いろいろとコミュニケーションを取らせていただいて、自分も参加させていただけたことが本当にありがたかったです」とコメント。三浦は「撮影のときはあまりガヤガヤ言われる感じではないけれど、大事なシーンや、ここは押さえておきたいというポイントでは、何か一言、刺さるような言葉を投げてくれるので、それに乗っかるような感覚でした。一言に重みがあるというか、役者さんを誘導するのがすごく上手なんだなとあらためて思いました」と語った。