『ミステリと言う勿れ』大ヒットスタート 邦画界を救う新たなキラーコンテンツの誕生か?

映画『ミステリと言う勿れ』は邦画界を救う?

 先週の動員ランキングは、2022年1月期のフジテレビ系列で放送された菅田将暉主演の連続ドラマ『ミステリと言う勿れ』の映画化作品、映画『ミステリと言う勿れ』がオープニング3日間で動員60万9600人、興収8億5000万円をあげて初登場1位となった。祝日の月曜日を含む4日間では、動員85万4000人、興収11億6900万円を記録した。これは、ちょうど1年前のシルバーウィーク初日(2022年9月16日)に同じ東宝配給で公開されたテレビドラマ『ガリレオ』の3作目の映画『沈黙のパレード』のオープニング4日間との興収比で168%という見事な成績。『沈黙のパレード』はしぶといロングランによって最終興収は30億円にまで達したが、『ミステリと言う勿れ』がその数字を超えるのは時間の問題だろう。

 1998年の『踊る大捜査線 THE MOVIE』に端を発する地上波テレビドラマ映画化におけるフジテレビ&東宝の黄金タッグは、特に2010年代後半に入ってから浮き沈みはあったものの、今回の『ミステリと言う勿れ』の大ヒットによって2023年においてもまだ健在であることを証明したとも言える。シリーズ化された作品として直近の成功例は、2019年から2022年にかけてこれまで3作品が公開されている『コンフィデンスマンJP』シリーズ。引く手あまたの菅田将暉が主演する作品だけに、フジテレビや東宝の都合だけでシリーズを量産するの難しいことが予想されるが、今後、『ミステリと言う勿れ』にはテレビドラマの続編、スペシャルドラマ、そして映画の続編と、様々なフォーマットにおいて新たな展開へさらなる期待が集まるのは間違いない。

 かつては、映画として主にクオリティの面で批判の対象とされがちだったテレビドラマの映画化作品。確かに「別にテレビで見ればいいんじゃない?」と思えるような作品も少なからずあったが、近年さらに顕著な「オリジナル実写作品の苦戦」「映画鑑賞行為そのもののイベント化」という二大傾向をふまえれば、もはや国内のメジャー配給実写作品としては数字が見込める最後の砦となりつつある。したがって、現在の映画の配給環境や上映環境が維持されることを願う一人としては、そうした座組の中からも良作が継続的に生まれることに希望を見出すしかないというのが正直なところだ。

 ところで、そうした座組における貴重な「良作」の一つだった、今年6月に公開が予定されていた劇場版『緊急取調室 THE FINAL』の公開はいつになるのだろう? 市川猿之助被告の裁判が始まるのは10月20日。現在も東宝のホームページの公開予定作品のラインナップの最後に一応掲載されているが、公開が来年になるのは仕方がないにせよ、お蔵入りだけはなんとか避けてもらいたい。

■公開情報
映画『ミステリと言う勿れ』
全国公開中
出演:菅田将暉、松下洸平、町田啓太、原菜乃華、萩原利久、鈴木保奈美、滝藤賢一、でんでん、野間口徹、松坂慶子、松嶋菜々子、伊藤沙莉、尾上松也、筒井道隆、永山瑛太、角野卓造、段田安則、柴咲コウ
原作:田村由美『ミステリと言う勿れ』(小学館『月刊フラワーズ』連載中)
監督:松山博昭
脚本:相沢友子
音楽:Ken Arai
主題歌:King Gnu「硝子窓」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
配給:東宝
製作:フジテレビジョン、小学館、トップコート、東宝、FNS27社
©田村由美/小学館 ©フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社
公式サイト:not-mystery-movie.jp
公式X(旧Twitter):@not_mystery_
公式Instagram:@not_mystery_not
公式TikTok:@not_mystery_

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