『どうする家康』“親友”中村七之助が引き出す松本潤の新たな顔 高畑淳子の流石の名演も

『どうする家康』“親友”中村七之助が登場

 もう1人、初登場となる人物で印象深いのが秀吉の母・仲である。娘の旭(山田真歩)が出迎えると「あ〜! 旭、来てくれたんか」と声をあげ、嬉しそうに手を取る姿から、旭同様、純朴な人柄であることがうかがえる。自称「色男」の大久保忠世(小手伸也)が丁重に出迎えるが、仲の目に留まったのは井伊直政(板垣李光人)である。直政の美しい顔立ちに見惚れる仲の表情は面白くもあり、愛おしくもあった。直政を気に入り、何かと直政を気にかける一方で、仲は自身の息子である秀吉に不穏さを感じている。

 家康が務めを終えたことで、仲の人質としての役目も終わった。直政は「ようございましたな」と言葉をかけるが、仲は意気消沈し、「わしは、幸せなんかのう……」と呟いた。「大政所」と呼ばれる仲だが、実際には外を出歩くことも許されず、大きな城の端にある小さな畑で野菜を育てているが、息子の都合で人質に差し出される。そんな立場に置かれている仲は「帰りたないのう……」と言う。険しい面持ちの仲が口にする言葉から、秀吉の恐ろしさが伝わってくる。

「ありゃ、わしの息子なんかのう?」
「ありゃあ、何者じゃ? わしゃ、何を生んだんじゃ? とんでもねえ化け物を生んでまったみたいで、おっかねえ……」

 仲を演じる高畑の怯えた顔つきからは、十やそこらで家を出ていった息子・秀吉の変貌に戸惑い、彼の欲望に振り回され、あきれ、くたびれている様子も感じとれた。仲は忠世の方へ振り返ると、ひどく怯えた表情で忠世の方に手を伸ばし、こうも言う。

「誰かが力ずくで首根っこを押さえたらんと、えれえことになるんだないかのう……」

 母の予感は的中している。「切り取る国は……日本の外にまだまだあるがや」と日本地図をじっと見つめる秀吉の目は狂気に満ちていた。秀吉はまさに「欲望の怪物」だ。欲しいものを手に入れても、すぐに別のものが欲しくてたまらない。兄を慕う秀長も、秀吉の尽きぬことのない欲望に、「まあまあ、兄様。今は天下一統でござる。さきざきのことはおいおい」と諫めるのだが、そんな秀長を秀吉はこれまでにないほど冷たい目で睨みつけた。

 秀吉の歯止めが効かない欲深さも不穏だが、次回予告で映し出された於愛(広瀬アリス)の言動も不穏で気になる。メインビジュアルやオープニングの変化同様、今後は物語にダークな部分が増えていきそうだ。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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