『どうする家康』タイトルバックが最後の“変身” 演出統括が変更意図を明かす

『どうする家康』タイトルバックが変更

 毎週日曜日に放送中のNHK大河ドラマ『どうする家康』のタイトルバックが第35回から変更された。

 本作は、ひとりの弱き少年が、乱世を終わらせた奇跡と希望の物語。誰もが知る歴史上の有名人・徳川家康の生涯を新たな視点で描く。主人公・家康を松本潤、脚本を『コンフィデンスマンJP』シリーズなどの古沢良太が担当する。

 今回の変更について、演出統括の加藤拓は「最後の変身」と語り、「本当の豊かさとはなにか、それを追い求めることを家康の第三幕としたいという願いがこもったタイトルバックになったと思います」とその意図を解説。

 制作を担当したアートディレクターの菱川勢一(DRAWING AND MANUAL)は、「抽象から具象へ、つまり夢や思想が形になっていくことを表現しました」と狙いを明かし、「タイトルバックというものはドラマ本編の入り口の語り部として、まるで窓の外に広がる庭のような部分だと思いながら制作しました」とコメントを寄せた。

コメント

加藤拓(演出統括)

今回からタイトルバックがリニューアル。最後の変身です。戦国時代決勝戦「秀吉VS家康」は家康の「敗北(臣従)」でいったん決着がつきます。しかし誰もが知る戦国の覇者・徳川家康にとってはこの敗北こそが新たな「出発点」。『どうする家康』の家康は勝利ではなく平和(浄土)こそが目的だからです。本当の豊かさとはなにか、それを追い求めることを家康の第三幕としたいという願いがこもったタイトルバックになったと思います。大らかでシンプルな第1弾、華々しくも荒ぶる戦国を象徴した第2弾、そして第3弾からは森羅万象が豊かさに満ちる家康の理想が感じられます。戦いの果てに、世界に誇る太平の世を築いた家康の挑戦を最後までお楽しみください。

菱川勢一(DRAWING AND MANUAL)(アートディレクター)

タイトルバックを三作品用意するというのは企画当初に話し合っていました。一つ目は幼少から青年期の家康を描く初期、二つ目は翻弄される家康を描く中期、そして天下人へ。初期は浅い色彩と抽象表現で表現し、中期はそこへ黒や赤、金といった人間の欲のようなものを取り入れました。そして今回の三つ目は抽象から具象へ、つまり夢や思想が形になっていくことを表現しました。家臣などの仲間の絆、そして畝る波のような時代の変遷の先に民や町が見えてくる。それら全てをじっと見ている富士の山。その後200年以上も戦のない太平が続くのを歓迎するように桜が舞う。タイトルバックというものはドラマ本編の入り口の語り部として、まるで窓の外に広がる庭のような部分だと思いながら制作しました。このタイトルバックの制作に尽力したスタッフ全員に感謝するとともに、音楽の稲本さん、そして大河スタッフの皆さんに感謝いたします。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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