『真夏のシンデレラ』夏海と健人の前に立ちはだかる厄介な障壁 第1話を反復した描写も

『真夏のシンデレラ』夏海たちに訪れた障壁

 第1話の終盤で、匠(神尾楓珠)に想いを告げたものの「女として見たことない」と言われて振られてしまった夏海(森七菜)は、次の日に配達で訪れた江ノ島水族館で健人(間宮祥太朗)と再会を果たした。それをなぞるように、前回のラストで匠に想いを告げられた夏海は「匠の気持ちには答えられない」と振り、今回は序盤から健人と待ち合わせをして江ノ島水族館でデートをする。9月11日に放送された『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)第10話は、最終話を前に、一夏の恋を経た関係性の変化を反復するようにして描写していく。

 例えばその第1話における江ノ島水族館での夏海と健人の偶然のめぐり逢いは、2人にとってはSUPでの初めての出会いと別荘でのホームペーティに続いての3度目の対面であった。今回健人は、水族館の水槽の前で「偶然も3つ重なると運命」と、それからの2人の関係性の変化をほのめかすように語ると、「夏海と出会ってから世界が色鮮やかに見える」と言って、(ようやく)はっきりと夏海に想いを伝えるのである。

 また同様に、冒頭で挙げた第1話のシーンは異なるかたちでも反復される。待ち合わせをした居酒屋にいつになっても匠が来ずに、大雨の降る外に出た夏海。そこに匠が傘もささずにやってきた第1話に対し、今回は夏海が配達に出てから突然雨が降り出し、匠が傘を持って迎えに行く。大雨のなかで雨に濡れて困っている夏海に、匠が傘を差し出す。ここまで丁寧に第1話の描写を反復したとなれば、あの時に夏海が匠にかけた「事故にあったのかと」という心配の言葉が現実のものとなって返ってきても必ずしも不自然ではないだろう。ラストの一見唐突すぎる展開も、そうなる道筋がすでに出来上がっていたわけだ。

 さて、前回のライブ帰りに皐月(山崎紘菜)が、半ば夏海を牽制するかのように告げた言葉もまた、現実のものとなる。父・創一(小市慢太郎)に「将来を考えている相手がいる」と伝え、夏海を紹介するために両親を連れてKoholaに来る健人。しかし両親は軽く会話を交わしただけで帰ると言い出し、健人に対して交際を反対する言葉を投げつける。さらに皐月も(わざわざ)Koholaにやってきては夏海に直接「足を引っ張っている」と言い放つ。ドラマ終盤になって、生活圏や学歴などの格差だけではない、より厄介な障壁が2人の前に立ちはだかるのである。

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