『ホーンテッドマンション』好スタート ようやく見えてきた「ディズニーの復調」

ようやく見えてきた「ディズニーの復調」

 先週末の動員ランキングは、『ホーンテッドマンション』がオープニング3日間で動員32万8000人、興収4億7600万円をあげて初登場1位となった。ディズニーが自社IPであるディズニーランドの人気アトラクション『ホーンテッドマンション』を実写映画化するのは、2004年4月に日本公開された同名作品に続いて2回目。同作の最終興収は34億円。北米ではその前週に公開された『バービー』と『Oppenheimer(原題)』に話題性を根こそぎ奪われたこともあって苦戦したが、日本では19年前の前回とほぼ同水準の好スタートをきることができた。

 今年、世界興行でトップに立っているのはマテル社の玩具を元にした『バービー』。続く2位は任天堂の人気ビデオゲームを元にした『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。数年前までアメコミ原作映画に独占されていた上位は、より幅広いIP作品へと様変わりしつつある。結果的に北米と日本で明暗が分かれた今回の『ホーンテッドマンション』の興行だが、かつて大ヒットを連発した『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ(2003~2017年)をはじめ、「人気アトラクションの映画化」という独自のIPを持っているディズニーの強味は、今後も活かされていくに違いない。

 注目すべきは、コロナ禍前までのような突出したヒットこそ記録していないものの、6月公開の『リトル・マーメイド』と『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(本作にも、ある世代以下の観客にとってはディズニーシーの人気アトラクションの映画化という側面がある)、8月公開の『マイ・エレメント』と、ここにきてディズニー作品がここ日本で継続的に復調傾向にあることだ。既に予告編の上映をはじめ積極的なプロモーションも始まっている12月日本公開のウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年記念作品『ウィッシュ』の結果次第では、映画興行におけるディズニー完全復活もあり得るのではないか。

 映画館で映画を観るという行為は、観客の習慣と強く結びついている。ここにきてのディズニーの復調は、新作を映画館に観に行って、そこで予告編を観て、また映画館に足を運ぶというサイクルが観客の間に戻ってきたことを表している。日本よりも劇場公開が2週早かった北米での『リトル・マーメイド』のディズニープラスでの配信日は今週の9月6日(日本での配信日は未発表)だった。つまり、劇場公開から配信まで約3ヶ月半。一つの基準として、そのくらいの期間が空いていれば、観客の「映画館に観に行こう」という機運が削がれることはないのかもしれない。

■公開情報
『ホーンテッドマンション』
全国公開中
監督:ジャスティン・シミエン
出演:ロザリオ・ドーソン、オーウェン・ウィルソン、ティファニー・ハディッシュ、ラキース・スタンフィールド、ダニー・デヴィート、ジャレッド・レト、ジェイミー・リー・カーティス
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
オリジナル・サウンドトラック:ウォルト・ディズニー・レコード
原題:Haunted Mansion
©2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

『今週の映画ランキング』(興行通信社):https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/

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