『MEG ザ・モンスターズ2』は「俺の負けです」だらけ ステイサムの“異常活躍”を堪能せよ
中国と言えば『MEG ザ・モンスターズ2』には中国最大の格闘アクションスター、ウー・ジンが参戦しているのが最高だ。中国歴代興行収入ランキングを見ると1位が(日本円にして)約1130億円の『1950 鋼の第7中隊』(2021年)で2位が約1000億円の『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』(2017年)というミリタリー超大作がランクインしているのだが、この両作で主演を務めるのがウー・ジンで、おまけに『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』では監督も務めているという規格外のスターだ。また、日本では『SPL 狼よ静かに死ね』(2005年)でドニー・イェンと伝説の死闘を演じたことでも有名だろう。仮に中国にメガロドンと戦えるやつがいるとしたら、間違いなくこの男しかいない。
そんなウー・ジンだが、『MEG ザ・モンスターズ2』では意外とサポート役に徹している。類まれなる格闘スキルを完全に封印し、人をシバくのはちゃんとジェイソン・ステイサムに任せている。島に上陸してチームメンバーとわちゃわちゃする姿は近年の作品における「俺はタフ!」といった感じより、脇役や悪役が多かった香港映画時代の彼の雰囲気を感じさせる。その結果、普段のアクション映画における不死身性だけが残り「めちゃくちゃ死にそうなのに、なぜかなかなか死なない男」という不思議な役柄に仕上がっている。ウー・ジンくらい巨大なスターになると別にハリウッド映画に出る必要はないのだが、それでもわざわざサメ映画を選んで出る(それもちゃんと作品を盛り上げるサポート役に徹する)あたり、彼の快男児ぶりとサメ映画へのリスペクトが窺える。
巨大なサメと巨大なタコと人を辞めたステイサムとウー・ジンが、大暴れ! 『MEG ザ・モンスターズ2』はそれ以上でもそれ以下でもない。だからこそ、なんの気負いもなくニッコリと観終えることができる映画に仕上がっている。サメはいつ観てもサメ映画でしかなく、観る者の体調や精神状態に左右されることはない。だからこそ気安く、愛らしい。夏の締めにピッタリの快作だ。
■公開情報
『MEG ザ・モンスターズ2』
全国公開中
監督:ベン・ウィートリー
出演:ジェイソン・ステイサム、クリフ・カーティス、シエンナ・ギロリー
配給:ワーナー・ブラザース映画
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公式サイト:megthemonsters.jp