『ワイスピ』スカイラインGT-Rが1/8スケールで登場! 伝説のシーンが生まれた背景とは
『ワイスピ』の愛称で呼ばれる大人気映画シリーズ『ワイルド・スピード』。同作品は、クルマのアクションシーンだけでなく登場車種の多さも人気の理由だ。印象に残るシーンは数あれど、ベスト5に入るものとしたら2作目の『ワイルド・スピードX2』冒頭に登場する、スカイラインGT-Rがジャンプしながらスープラを抜いていくシーンではないだろうか。そして今やスカイラインGT-Rは映画とともに伝説となりつつあるのだ。
スカイラインは日本のモータースポーツの歴史でもある
スカイラインの歴史は1957年に始まった。当時は日産ブランドではなく、プリンス自動車工業(1966年に日産自動車と合併)のクルマ。一躍その名を世界に知らしめたのは1964年に鈴鹿サーキットで開催された第2回日本グランプリだ。当時4気筒エンジンを搭載していたスカイラインに無理やり6気筒エンジンを載せ(そのためフロントは約200mm延長した)、レースに参戦。当時モータースポーツで世界最速を誇ったポルシェ904を一時だが抜き去りトップを走るなど「スカイライン神話」が誕生。その後の市販車ではレースカー並みの実力を内に秘めたスポーツカーとして進化してきた。
究極のスカイラインGT-R
スカイラインとしては10代目を数える1998年に登場したR34型。その発売から1年後にGT-Rは登場した。スカイラインGT-Rとしては5代目になり、スカイラインの名を持つ最後のGT-Rになる。「究極のドライビングプレジャーの追求」をコンセプトにし、走りの性能No.1と日本最速のスポーツカーの座を狙ったモデルだ。その基本メカニズムはいわゆるR32型GT-R(1989年登場)から受け継がれるものだが、空力性能のアップや各部品の熟成が進み最強のスカイラインGT-Rにふさわしい仕様に。エンジンは2568ccの排気量を持つR32型GT-Rに搭載されたRB26DETT型。この税制上半端な排気量は当時のレースカテゴリー、グループAの基準に合わせたものである。その最高出力は280PS(馬力)とされているが、クルマのデビュー時は馬力規制があり、それに対応した形だ。実際は300PSを大きく超えていたという。開発主管の渡邉衝三氏によれば「最高出力は280PSですが周辺機器も含めて600PSを想定した余裕のあるエンジン」という。
劇中のインパクトは大!
『ワイルド・スピードX2』の冒頭シーンで主人公のブライアン(ポール・ウォーカー)がハンドルを握るのは、1999年式のスカイラインGT-R。もちろん型式は最後のスカイラインを名乗るGT-Rとして知られるR34型。劇中のクルマはカリスマ的なストリートレーサーとしてブライアンに相応しいモデルに仕上がっているようだ。エンジンは前述の通りRB26DETTエンジン。ストリートレースで必要な瞬間的な瞬発力を得るために、これにニトロ噴射装置をつけている。資料によれば最高出力は320PSとなっているがこれは「あえて」抑えているのだろう。足回りはローダウンスプリングで車高を下げ、調整式のショックアブソーバーも備える。アルミホイールはHRE製。ステアリングはイタリアのスパルコ製とこだわる。
冒頭のレースシーンの衝撃はそんなメカニズムの話よりも大きい。2番手に甘んじていたブライアンが最終コーナーを曲がると、レースを仕切っていたテズ・パーカー(クリス・“リュダクリス”・ブリッジス)が橋を跳ね上げる仕掛けを発動。しかし減速することなくそのまま橋を飛び越え、前を走っていたクルマを空中で抜き去るというものだ。