『キングダム』『JIN-仁-』大沢たかおの実写作品にハズレなし? 役作りにかける情熱

『キングダム』大沢たかお、実写作品への情熱

 絶賛上映中の映画『キングダム 運命の炎』で、前作以上に注目が集まっているのが大将軍・王騎を演じた大沢たかおだ。

 主人公・信(山﨑賢人)が目標とする人物で、彼が王騎に弟子入りする様子も描かれている最新作だが、王騎の絶対的な存在感やカリスマ性にはこれまで以上に目も心も奪われてしまう。

 大幅な増量をし撮影に臨んだという大沢扮する王騎の悠然とした振る舞い、非常に厚みのある胸板や規格外のサイズ感、余裕も貫禄もたっぷりで、登場した瞬間から場の空気を一気に変えてしまう引力が凄まじい。雄大でゆったりとした立ち振る舞いからは想像のつかない中性的で丁寧すぎる物言いや独特すぎる笑い方が不協和音にもなり、“只者ではなさ”をますます助長させ、ずっと気になる異物感を与え続ける。どこまで信用していいのか図りかねる底知れなさや不気味さ、浮世離れした唯一無二な存在は、周囲に緊張感や違和感を覚えさせ、もっとその奥を覗いてみたくなってしまう。また、何もかもお見通しで、対峙した相手が試されているかのような投げかけや委ねるような余韻たっぷりな口調が印象的だ。

 大沢演じる王騎が間違いなく作品全体に重厚感や奥行きをもたらしている『キングダム』シリーズ。同じように、彼が漫画原作の実写作品で非常に高い評価を受けた作品と言えば、『JIN-仁-』(TBS系)が思い出される。大沢演じる幕末の江戸時代へタイムスリップしてしまった現代の脳外科医・南方仁が、満足な医療器具もない中、その経験則や知識で人々の命を救いながら、自らも幕末の動乱に巻き込まれていく壮大なヒューマンストーリーだ。

 婚約者の手術を執刀し彼女が植物状態になってしまったことで、自嘲気味にどこか自分自身を罰しながら生きていたような南方が、タイムスリップした江戸の世で本来の自分自身を取り戻し、成長していく様には毎回胸を熱くさせられた。今も昔も何ら変わらぬ人の根源的な生命活動や誰かが誰かを想う気持ちの強さに触れ、南方の心のバリアが融解していく中で繰り返される愚直な自問自答と再起の様を、大沢が丁寧に人間味たっぷりに見せつけた。

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