『18/40』安田顕の全身から伝わる娘への愛情 夏ドラマにシングルファザーが集結?

『18/40』安田顕から伝わる娘への愛情

 母親ならわかってあげられることが、父親の自分にはわかってあげられない。その寂しさともどかしさが、演じる安田顕の全身から感じ取ることができる。何かもの言いたげに落とす視線、有栖が1人暮らしするマンションでの手持ち無沙汰な様子や、気まずさをごまかすような笑み。そういった台詞以外の仕草や佇まいにちゃんと意味があって、娘を持つ父親に対する解像度が非常に高い。特に背中の演技。有栖が家にもういないことを実感しながら縁側で佇んでいる時、有栖と喧嘩して瞳子(深田恭子)のマンションをトボトボと出てきた時、有栖からかかってきた電話を切った後など、このドラマでは幾度となく市郎の背中が映し出される。そこには台詞がなくとも、安田は市郎のその時々の思いを語っている。「目は口ほどにものを言う」という言葉があるが、背中も言葉以上に何かを伝えることがあるのだ。

 一方で、安田の場合は台詞にも力がある。出産にあたり、身体のためにも休学を条件として有栖に突きつけた市郎。少しでも早くキュレーターになりたいという焦りから反発する有栖に市郎が語りかけた「どんなに回り道をしても、その場所にたどり着けばいいんだ。有栖の望む場所に。絶対、行けるから!」という言葉には安心感があった。単なる詭弁や誤魔化しじゃない。心から信じたいと思える言葉だ。

 これからも子育てをしながら、キュレーターを目指す有栖には様々な困難が訪れるだろう。だけど、彼女のそばには瞳子も市郎もいる。時には周りの手も借りざるを得ない状況の中で、人に頼るのが少し苦手な有栖がどう成長していくのか。そして、市郎との不器用な親子関係がどのように変化していくのかにも注目だ。

■放送情報
火曜ドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:福原遥、深田恭子、鈴鹿央士、上杉柊平、出口夏希、長澤樹、八木勇征(FANTASTICS)、嵐莉菜、シルビア・グラブ、髙嶋政宏、美村里江、松本若菜、片平なぎさ、安田顕
脚本:龍居由佳里、木村涼子
プロデューサー:韓哲、荒木沙耶、内川祐紀
演出:福田亮介、松木彩、宮﨑萌加
音楽:吉俣良
主題歌:Ado「向日葵」(ユニバーサル ミュージック)
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/1840_tbs/
公式Twitter:@1840_tbs
公式Instagram:1840_tbs

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